玉木発言「共産党は全体主義」は正論
共産党が全体主義かどうかをめぐりちょっとした議論となった。共産党は間違いなく全体主義であり、当の共産党はもちろん「全体主義とは無縁」と主張しているが、全体主義と思っていないのは共産党だけなのだろう。次期衆院選では、立憲民主党などはその全体主義の共産党と選挙協力しようというのだから、民主主義を軽んじているとしか思えない。
共産党の「全体主義」をめぐる議論の発端は、国民民主党の玉木代表の発言だ。立憲民主党、国民民主党両党が7月15日、それぞれ「連合」と結んだ政策協定に「左右の全体主義を排し、主権者意識の涵養を軸とした健全な民主主義の再興を力強く推進する」と記されていることについて、玉木氏が記者団に「左右の全体主義を排すというのは、共産主義、共産党のことと認識している」と解説した。
これに対し、共産党の田村政策委員長が16日の会見で、「日本共産党は一貫して、自由と民主主義を求め続け、守り、発展させようという立場を貫いてきた」「全体主義とは無縁だ」と反論したのだ。
もともと共産党は綱領で「社会主義的変革の中心は、主要な生産手段の所有・管理・運営を社会の手に移す生産手段の社会化である。社会化の対象となるのは生産手段だけで、生活手段については、この社会の発展のあらゆる段階を通じて、私有財産が保障される」とし、生産手段の社会化を明言している政党だ。生産手段を私有できない社会とは、まさに自由主義ではなく、民主主義もない。そんな社会を目指している政党だ。
そして、天皇制も認めず、現在の日本社会を民主主義とは考えていないのが共産党だ。
綱領では、天皇制について「存廃は、将来、情勢が熟したときに、国民の総意によって解決されるべきものである」としながら、一方で「党は、一人の個人が世襲で『国民統合』の象徴となるという現制度は、民主主義および人間の平等の原則と両立するものではなく」と明示している。
つまり、共産党の解釈からすれば、天皇制が定着している現在の日本社会は、民主主義社会ではないのだ。
そんな独善的な〝民主主義観〟を持つ共産党の組織はと言えば、最高議決機関の党大会は2年に1回しか開かれない。そして、そこでは執行部の提案を承認するだけに過ぎない。一般的な常識で考えるような民主的な議論など行われることはない。
共産党は7月15日に創立99年を迎えたが、この間、書記長、議長、委員長など名称はさまざまだが、最高指導者のポストに就いたのは、わずか10人しかいない。現在の志位幹部会委員長が就任したのは2000年11月24日で今年で21年目となる。
21年もの長期にわたり一人の人間がトップであり続けられるのは、オーナー企業、宗教団体のほか共産党ぐらいなものだろう。
政党という透明性、公開性が求められる組織で、トップが21年もの長期にわたり変わらないというのは、その組織自体も民主的ではないことを証明している。
(terracePRESS編集部)