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グレーゾーン事態への対応強化を

中国の戦略的脅威が激しさを増している中、令和3年版防衛白書は、領土や主権、経済権益などをめぐる、いわゆるグレーゾーン事態の長期化や拡大などに懸念を示した。南シナ海や尖閣諸島ではまさに中国の活動によるグレーゾーン事態が現実化している。このような事態に適切な対応をとらなければ、将来に禍根を残すことになりかねない。

 

いわゆる「グレーゾーン事態」とは、純然たる平時でも有事でもない幅広い状況を端的に表現したものとされている。白書ではそれを「純然たる平時でも有事でもない幅広い状況を端的に表現したもの。例えば、国家間において、領土、主権、海洋を含む経済権益などについて主張の対立があり、少なくとも一方の当事者が、武力攻撃に当たらない範囲で、実力組織などを用いて、問題にかかわる地域において頻繁にプレゼンスを示すことなどにより、現状の変更を試み、自国の主張・要求の受入れを強要しようとする行為が行われる状況をいう」などと定義している。

 

例えば南シナ海では、中国が2014年以降、南沙諸島や西沙諸島で、大規模な埋立てを実施して同地域の軍事拠点化を進めたり、空母を含めた軍事演習を実施したりしている。

 

また、東シナ海、中でも尖閣諸島周辺については白書が「中国は、わが国固有の領土である尖閣諸島周辺において力を背景とした一方的な現状変更の試みを執拗に継続しており、強く懸念される状況となっている。2020年4月から8月にかけては、海警船が尖閣諸島周辺の接続水域において過去最長となる111日間連続で確認された。また、一年間に尖閣諸島周辺の接続水域で確認された中国海警船の活動については、活動日数が333日、活動船舶数が延べ1,161隻となり、いずれも過去最多となった」など懸念を示している。

 

もちろん、こうした地域的な緊張はまさしく武力攻撃は用いない「グレーゾーン事態」と言える。

 

白書ではこうした状況について「いわゆるグレーゾーンの事態が国家間の競争の一環として長期にわたり継続する傾向にあり、今後、さらに増加・拡大していく可能性がある。

こうしたグレーゾーンの事態は、明確な兆候のないまま、より重大な事態へと急速に発展していくリスクをはらんでいる」と指摘している。

 

白書は「明確な兆候のないまま」と指摘しているが、誤解してはいけないのは、明確な兆候がないのは「武力攻撃」であって、「現状の変更を試みる」という相手の意思ではない。

尖閣諸島でいえば、尖閣諸島と周辺海域を自国の領土領海にするという中国の「現状変更の試み」の意思は明確だ。南シナ海も同様だ。そしてその現状変更の意思があるのを傍観すれば、やがて現状は変更されてしまう。

これを阻止するためには「現状変更を許さない」という国民の強い意志が必要だが、残念ながら日本国民にはまだ、そこまでの準備はできていない。

 

(terracePRESS編集部)

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