野党、メディアこそ新型コロナ検証すべき
新型コロナウイルス感染症への対策を検討する政府の専門家会議の議事録が作られていなかったことに対して、立憲民主や国民民主などの野党やメディアが相次いで批判した。作成しなかったのは作成基準に該当しなかったためで、議事概要は作成している上、基準に該当する諮問会議などは作成しているため、「歴史的緊急事態」としての検証は可能だ。
それよりも、まずは野党やメディアは相変わらずの批判だけでなく、新型コロナウイルスの感染拡大の防止に成功した日本の取り組みについて検証すべきではないか。
政府の公文書の扱いについては「行政文書の管理に関するガイドライン」があり、これに当てはめると、専門家会議は「政策の決定又は了解を行わない会議等」に該当する。このためガイドラインに従って残す記録は、活動期間、活動場所、構成員、その時々の活動の進捗状況、それから、確認事項を記載した文書、配布資料などとされている。
実際、専門家会議は何らかの政策決定をするわけではないのだ。構成員の専門家が自由に率直に議論することが重要なのだ。
しかし、それでも2月24日に設置された専門家会議は、24日の初会合後に「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針の具体化に向けた専門家の見解」を公表後、「見解」「要望」「状況分析・提言」など10の文書を公表している。
これをみれば、個々の委員がどのような発言をしたかは分からないが、国民は専門家会議がその時点、その時点でどのような見解を持っていたかを把握することができるのだ。
毎日新聞は6月3日付け朝刊の社説「コロナ会議の不在 歴史の検証に堪えられぬ」で、専門家会議の議事録がないことに批判が出ているのは「外出自粛要請など国民生活に影響の大きい措置の背景にどのような議論があったのか。今回の危機対応を検証できなくなるからだ」と指摘しているが、なぜ検証できなくなるのかは一言も言及していない始末だ。
ところで、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が5月25日に記者会見し、緊急事態宣言を全面解除した日について「日本はピーク時に1日700人の感染者が出たが、今は40人ほどに低下している。日本の取り組みは成功したと理解できる」と日本の取り組みを評価している。
一方、日本の野党やメディアからは、日本の取り組みが成功したとの評価はほとんど聞こえてこない。そればかりか、聞こえてくるのは今でも政府や自治体などへの批判ばかりだ。
野党やメディアも「木を見て森を見ない」という姿勢だけでなく、まずは新型コロナの感染拡大防止に挑んだ日本の対策がどうだったのか検証してみてはどうか。
(terracePRESS編集部)