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2020.07.16

国も自治体も持っていない打ち出の小槌

朝日新聞が先ごろ、新型コロナウイルス感染症対策のため42都道府県で自治体の貯金にあたる「財政調整基金」を取り崩し、総残高が前年度末に比べ58%減ったことを報じた。朝日独自の調査で、取り崩した額は計1兆円を超えるという。

朝日新聞にしてはとても意味のある記事で、同紙は「景気悪化で今後の税収減も見込まれる中、財政調整基金は自然災害への備えでもあり、各自治体は危機感を募らせている」と指摘している。

 

新型コロナで各都道府県はこれまでさまざまな取り組みをしている。休業要請に応じた事業者への最大100万円の協力金を支給した東京都など、多くの都道府県が協力金やそのほかの対策を実施している。朝日新聞によると、その結果、東京都が8521億円、大阪府796億円、神奈川県167億円、それぞれ同基金を取り崩したという。

 

財政調整基金は本来、年度間の財源調整をするためのもので、財源に余裕がある年に積み立て、不足する年に取り崩して財政運営をするものだが、税収に余裕のある都市圏の自治体が多くの積み立てを確保しているのが一般的だ。恒常的に財政に余裕がなく新型コロナ対策で協力金を出そうにも財政に余裕のない地方圏の自治体からみれば、都市圏の自治体がうらやましい限りだろう。

 

朝日新聞は、自治体の財政調整基金が急激に減少したことに懸念を示したわけだが、ところで国の財政はどうだろう。

国は自治体のように〝貯金〟と呼べる資金はほとんどないから、予定外の財政需要が発生すると、国債を発行して資金を賄わなければならない。これは国の借金で、いつかは国民が返済しなければならない。

もちろん新型コロナ対策でも、国債を発行し、さまざまな対策の費用に充当している。

 

新型コロナ対策では、2020年度当初予算編成後に1次、2次と2回の補正予算を編成している。当初予算編成時の20年度末の国債発行残高は約906兆円だ。国債残高を家計になぞらえて示すのはあまり適切ではないが、国民一人当たりの残高は約723万円、4人家族で約2892万円だった。

 

それが2次補正後では、残高は約964兆円で、一般会計税収の15年分に相当する。国民1人当たりでみると769万円、4人家族では約3076万円に達した。これらの〝借金〟を今後、日本国民が返済していかなければならない。

 

もちろん、だからといってコロナ対策をすべきではないということではない。必要な対策は実施していかなければならないことは言うまでもない。しかし、野党やメディアのように財政のことを考慮せずに何でも補償すればよいというのでは、借金が膨れ上がるばかりだ。「金を出せ」というのは簡単だが、国も自治体も打ち出の小槌を持っているわけではないという認識も必要だ。

 

(terracePRESS編集部)

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