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2020.10.27

「脱炭素」だけではない菅首相の所信表明

菅首相が就任以来初の所信表明演説を行った。首相が温室効果ガス排出量を2050年までに実質ゼロとする目標を宣言したため、メディアなどでは脱炭素に注目が集まっているが、所信表明で明らかにしたのは脱炭素だけではない。地方の活性化、社会保障など安心できる社会の構築に向けた決意も述べている。

 

所信表明では冒頭、「爆発的な感染は絶対に防ぎ、国民の命と健康を守り抜ぬく。そのうえで、社会経済活動を再開して、経済を回復する」「今後とも、新型コロナウイルスが経済に与える影響をはじめ、内外の経済動向を注視しながら、ちゅうちょなく、必要な対策を講じていく考えだ」と、新型コロナウイルス感染症の拡大防止と経済の両立を進めるとの考えを示している。

 

注目したいのは地方の活性化だ。首相は「新型コロナ対策」「デジタル社会の実現」「グリーン社会の実現」に続いて4番目に地方について言及し「私は、雪深い秋田の農家に生まれ、地縁、血縁のない横浜で、まさにゼロからのスタートで、政治の世界に飛び込んだ。その中で『活力ある地方を創る』という一貫した思いで、総務大臣になってつくった『ふるさと納税』は、今では年間約5000億円も利用されている」「いわゆる東京圏、1都3県の消費額は全国の3割にすぎない。観光や農業改革などにより、地方への人の流れをつくり、地方の所得を増やし、地方を活性化し、それによって日本経済を浮上させる」「日本の農産品はアジアをはじめ海外で根強い人気があり、輸出額はまだまだ伸ばすことができる。2025年に2兆円、2030年に5兆円の目標に向けて、当面の戦略を年末までに策定し、早急に実行に移す」などと述べている。

 

菅首相には、地方を活性化させなければ日本全体の成長をなしえないという強い思いがあるのだろう。「いわゆる東京圏、1都3県の消費額は全国の3割にすぎない」と語ったのもその思いからだ。東京圏など大都市圏をにらんだ政策を行っても、いびつな日本になってしまう。そのため、所信表明でも地方の活性化に向けての決意を語ったのだ。

 

また、社会保障についても言及している。安倍政権を継承する菅政権は、全世代型社会保障を引き継ぐことになるのだろうが、所信表明では「わが国の未来を担うのは子どもたちだ。長年の課題である少子化対策に真正面から取り組み、大きく前に進める。待機児童の解消を目指し、女性の就業率の上昇を踏まえた受け皿整備、幼稚園やベビーシッターを含めた地域の子育て資源の活用を検討し、年末までにポスト『子育て安心プラン』を取りまとめる」などと表明している。

 

所信表明ではこのほか、デジタル改革、成長戦略、東日本大震災の復興と災害対策など国民生活に密着した分野について実務型内閣らしく、具体的に述べている。

その上で「行政の縦割り、既得権益、そして、悪しき前例主義を打破し、規制改革を全力で進める。『国民のために働く内閣』として改革を実現し、新しい時代を、つくり上げていく」と語っている。菅首相の所信表明は大向うのウケは狙わず、実務の方向性を提示している。だからこそ国民が期待できる政権と言える。

 

 

(terracePRESS編集部)

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