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2020.08.24

「GoTo」批判の岩手知事の思惑は?

新型コロナウイルス感染症対策の一環である「Go To トラベル」事業が22日でスタートから1カ月が経過した。東京が対象外となるなど完全な形ではないにしても、各地の観光支援として重要な施策となっている。こうした中、岩手県の達増拓也知事は定例記者会見で、「Go To トラベル」について「失敗と言っていい」と述べている。新型コロナと経済の両立が求められる中で、成功か失敗かの二者択一でしか評価できない政治家は資質が問われるだろう。

 

「Go To トラベル」は確かに、新型コロナ収束後の需要喚起を見込んでいた。だが、スタート当初から感染者が増え始め、当初の見込みと違ったことは事実だ。とはいえ、観光業は地域経済を支える重要な産業だ。それを支援する仕組みは、新型コロナの感染拡大防止と並んで重要な施策と言えるだろう。

 

菅官房長官はテレビ朝日の取材に対して「地域に根差して貢献している人が圧倒的に多いのは、観光業者の人たち。地方のホテルや旅館は稼働率1割ちょっとだった。旅館に食材を納めたり、土産物を作る、バスやタクシーなども絡んでいて、約900万人の人が直接働いていると言われている。観光業は極めて厳しい状況のなかで、感染防止の対応をした所に協力をお願いできるような仕組みにした。そして、直近までで延べ200万人が利用して頂いているが、このうちコロナに感染した人は10人。そうした面で、地域の活性化に少しは役に立ってきていると思う」と述べ、「Go To トラベル」の意義を強調している。

 

事実、鬼怒川温泉などを抱える栃木県の下野新聞は、「最初はGo Toに期待していなかったが、思ったよりも利用があった」との旅館の若女将の声を紹介した記事で「栃木県内の宿泊施設には観光客が戻り始め、需要回復へ一定の効果が見られた」「感染拡大への不安が拭えない中、各施設は感染防止対策に万全の注意を払いながら、観光復興に向けた模索を続けている」などと報じている。

 

達増知事は「新型コロナが収束していない状態の中で、期待された効果が出てこないのは仕方ない」との見解も示しているが、必死に努力し、「Go To トラベル」に期待する観光業者もいる中で、「失敗と言っていい」と断ずるのは浅慮というほかはない。

 

達増知事は1996年の衆院選に新進党から出馬して当選して政治家とり、その後、岩手県知事に転身している。小沢一郎氏の最側近の1人と言われた時代もあり、知事選でも民主党の推薦を得て、当選している。

つまり、達増知事は国政の色分けで言えば野党系知事なのだ。当然、立憲民主党や国民民主党のように政府の新型コロナ対策に批判的な姿勢なのだろう。

しかし、もし達増知事が知事という立場にありながら政治的な思惑がらみで「Go To トラベル」を「失敗」と断ずるのなら、それは決して許されないことだ。

 

(terracePRESS編集部)

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