政権与党だからこその少子化対策
自民党総裁選で、少子化対策が焦点の一つとなっている。9日に開かれた自民党の青年局、女性局が主催する公開討論会では少子化対策についての質問に、候補者の石破元幹事長、菅官房長官、岸田政調会長の3氏はいずれも持論を展開したが、少子化対策についての党員の関心が高いことをうかがわせた。
討論会では、石破氏が「(少子化は結婚する人が減るなど)理由があるはず。1つ1つ解明して解決していく」と述べると同時に、不妊治療などにも「力を尽くさないといけない」と語った。
菅氏は「昨年消費税を引き上げたなかで、約2兆円を幼稚園、保育園、保育所、大学、専門学校の無償化を進め子育ての経済負担を軽減した」と述べ、少子化対策として無償化を実施していることを強調。その上で「出産を希望する世帯を広く支援するために、不妊治療の保険適用を実現したい」との考えを明らかにした。
岸田氏は「日本では女性政策に向けての予算もOECDの調査から見ても、世界平均の半分以下。乳がん検査、子宮がんの検査費用、あるいは出産費用にも思い切って支援することで実質ゼロにするなど予算的後押しも必要なのではないか」と語った。
岸田氏はこの日午前、遊説先で出産費について「負担をゼロにするべく、国として支援をする」と無償化を目指す考えを記者団に表明していた。
3氏それぞれ表現は異なるのだが、いずれも日本のあい路ともなっている少子化の問題性を十分認識し、その解消に向け、政権与党だからこその少子化対策を実施する考えを示していると言えるだろう。
確かに少子化はさまざまな理由で進んでおり、解明できていない部分もある。先進国はいずれも少子化に直面しており、各国とも出生率の上昇に取り組んでいる。
日本でも安倍政権が「第4次少子化社会対策大綱」を策定、若い世代の結婚、子供の数に関する希望がかなうとした場合に想定される「希望出生率」を「1.8」とする目標を掲げている。実際の出生率は「1.36」だが、これを引き上げるため、大綱では各種結婚支援や保育人材確保などによる待機児童ゼロの実現、育児休業給付金や児童手当の拡充、不妊治療の経済的負担軽減などさまざまな対策を盛り込んでいる。
次期政権でも、少子化対策はまずこの大綱の継続が基本となるが、それに加えて、経済の活性化も不可欠だ。新型コロナウイルス感染症により大きな影響を受けたが、安倍政権で堅調に推移した経済をさらに発展させることが少子化対策にもつながる。
少子化は国難ともいえる問題だが、実は立憲民主党など野党はこの分野で真正面から政策を打ち出しているとは言い難い。少子化対策としてほとんどまとまっていないのが現実だ。
少子化対策は待ったなしの課題であり、政権与党だからこそできる対策だ。日本が衰退していくか否か、少子化対策にかかっていると言っても過言ではない。
(terracePRESS編集部)