菅政権の誕生は時代の要請
菅政権が16日スタートした。長期的には少子高齢化の進展、地方経済の衰退、緊張が高まるアジア、デフレ経済からの確実な脱却などさまざまな課題が山積している中で、足元では新型コロナ感染症という未曽有の危機、まさに国難に直面する中でのスタートとなった。しかし、7年8カ月に及び実績を上げた安倍政権を継承し、さらに前に進める菅政権は、新しい社会を作るために一刻の猶予も許されないという時代の要請による政権と言えるだろう。
菅首相は16日の記者会見で「この危機を乗り越えて、すべての国民が安心して生活をするには、安倍政権の取り組みを継承して、前に進めていくのが使命だ」と述べた。
また「経済の再生は引き続き政権の最重要課題、金融緩和、財政投資、成長戦略の3本を柱とするアベノミクスを継承して、今後一層の改革を進めていく」と強調した。
安倍政権下では、人口が減少する中でも就業者は約400万人増え、そのうち330万人が女性で、これまで働きたくても就業先がなかった人が働ける環境を整備した。こうした経済再生や外交、安全保障、全世代型社会保障などをさらに深堀したり、展開したりすることが菅政権の使命だ。
とはいえ、まず取り組まなければならないのは新型コロナ対策だ。菅首相は前政権の官房長官として「Go To トラベル」などをリードしてきたが、爆発的感染を阻止しながら「雇用を守り、企業を継続させることが極めて大事」という認識のもと感染対策と経済活動の両立を図る考えだ。
また、新型コロナで露呈した行政のデジタル基盤の整備なども当面の課題で、デジタル庁の創設に早くも着手するという。
新型コロナ対策も含め安倍政権の路線を継承する菅政権だが、もちろん、そのまま踏襲するだけでは新しい道は開けないことも事実だ。
菅氏は会見で「行政の縦割り、既得権益、悪しき前例主義、こうしたものを打ち破って規制改革を全力で進める」と強調したように、規制改革を一層加速させる考えだ。
規制緩和は安倍政権でも行われてきたが、さらに加速させることで成長戦略につなげようというものだ。その際に縦割りや前例主義に陥った霞が関が抵抗するようなことがあれば「打ち破る」というのだから、その本気度は疑う余地はない。
菅氏は会見で「当たり前ではない色々な事実を見逃さず、現場の声に耳を傾け、何が当たり前なのか、そこをしっかり見極めたうえで、大胆に実行する、これが私の信念だ。今後も揺らぐことなく行っていきたい」「国民のためになる、ために働く内閣を作る。そのことによって国民の皆さんのご期待にお応えしていきたい」と力強く述べている。
菅政権は、まさに新しい社会を作るにふさわしい政権と言えるのだろう。
(terracePRESS編集部)