輸出規制2年でも日本の立場は堅持すべき
日韓関係は依然として厳しい状況が続いている。いうまでもなく、旧朝鮮半島出身労働者をめぐる裁判では国際法違反状態を作り出し、慰安婦問題では日韓合意を事実上反故にした。日本側が是正を求めているが、韓国側はボールを投げ返そうともしない。韓国への半導体材料の輸出管理の厳格運用も表明から2年が経過した。
日本政府が韓国に対して行った輸出管理の「制度運用の見直し」を表明したのは2019年7月1日だ。フッ化ポリイミド、レジスト(感光材)、エッチングガス(フッ化水素)という半導体材料を包括輸出許可から個別輸出許可に切り替えるとの内容だった。
この措置の背景には、韓国側の輸出管理における不適切な事案が発生したことに加え、日韓間の信頼関係の喪失があったことも事実だ。
韓国は慰安婦問題をめぐり、日韓両国の慰安婦合意を無視し、設立した財団を一方的に解散させるなど、韓国側の行動により信頼関係は崩れていた。
その後、日本側は2019年12月、「健全な輸出実績が積み上がった」ことを理由に輸出管理を一部緩和し、半導体材料3品目のうち、レジスト(感光材)について、特定企業間で最長3年間は1件ごとに許可をとる手間が省ける仕組みを使えるようにした。
一方、韓国側は日本の輸出規制に反発して2020年6月に世界貿易機関(WTO)に提訴し、現在、小委員会で審理中となっている。
ちなみに日本側は、韓国側のWTO提訴に対しては「本件措置は軍事転用可能性のある貨物の貿易や技術の移転を適切に管理する観点から、輸出管理制度の適切な運用のために個別許可申請による管理としたものであり、WTO協定違反の指摘は全くあたらない」などと主張している。
こうした状況の中で、加藤官房長官は7月2日の記者会見で、表明から2年を迎えた韓国への半導体材料の輸出管理の厳格運用について「韓国側の輸出管理の状況などを総合的に評価し、実効性を見極めながら運用していくのが基本的な考え方だ」と述べ、韓国側がWTOに提訴していることや、慰安婦問題などをめぐる韓国側の対応に問題があるため信頼関係が構築されておらず、輸出管理を見直すことは難しいとの認識を示している。
英国で6月に開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)では、菅首相と韓国の文大統領は約1分程度のあいさつをした。日本政府によると、文氏から首相に歩み寄って声を掛けたという。
近隣の国でそれまで電話会談しかしておらず、G7のような場で正式な会談をしないのは異常だが、それも日本政府の韓国政府に対する怒りのためだ。
旧朝鮮半島出身労働者、いわゆる徴用工問題でも、慰安婦問題でも、また輸出管理問題でも、解決すべきは韓国側の方だ。未来志向で日本側が譲歩すべきと言った暴論も見受けられるが、未来志向の二国間関係を望むのであれば、何年かかっても日本は日本の立場や見解を変更すべきではない。
(terracePRESS編集部)