小沢氏の次の一手、野党共闘に沈む共産党
いま、鼻息が荒くなっている政治家がいるとすれば小沢一郎氏かもしれない。沖縄県知事選に自由党の幹事長だった玉城デニー氏を立候補させ、約8万票の大差をつけ当選させたのだから当然だ。
沖縄県知事選は、翁長前知事時代から結成されていた野党と一部財界など保守系の人々によるオール沖縄が母体となり、そこに小沢氏が玉城氏を連れて参戦した形となった。オール沖縄は共産党の影響力も大きいとされているが、小沢氏はそこでうまく〝野党共闘〟を利用し、知事選に勝利したのだ。
小沢氏と言えば、政治的にはほぼ影響力がなくなっていたのだが、この知事選を契機に再度浮上した形となった。この政治的な成功をテコにして、一層の浮上を図ろうと考えているのが来年の参院選だ。沖縄での成功体験を背景に1人区で野党共闘を作り上げ、自公政権に反撃する足掛かりにしたいと考えているはずだ。
そこで注目が集まるのが共産党だ。沖縄知事選でもそうだったように、共産党の動向が野党共闘の成否を握る。事実、2016年の参院選では野党系が全国32の1人区のうち11選挙区で与党系に競り勝っている。2013年の参院選では31の1人区のうち29が与党系だったから、野党統一候補が出れば、相当程度与党系候補に勝てることになる。小沢氏は、それを狙うわけだ。
そのカギを握るのは共産党ということになるが、実は、野党共闘が進めば進むほど、共産党にとっては厳しい状況となる。
2016年の参院選の選挙区での共産党の得票数は4,103,514票だったが、実は2013年の参院選より1,542,423票減らしている。得票が占める割合も13年は10.64%だったが、16年は7.26%に低下している。
もちろん、参院選だけではない。昨年10月の衆院選では67選挙区で独自候補を立てずに野党候補の1本化に協力したが、共産党の議席は改選前の21から12とほぼ半減している。
つまり、野党統一が進めば進むほど、共産党の党勢は縮小していくのだ。もちろん、だからといって野党統一として共産党系の候補者を擁立していくのも困難だ。共産党の候補者となった時点で有権者から反発が起こる。
そこをうまく調整して、共産党に野党候補に協力させるというのが小沢氏の戦略となるはずだ。
しかし、そもそも自由党はもちろん、「国や国民が直面している諸問題に対して現実的に向き合う『改革中道政党』」と謳う国民民主党が、社会主義政党と協力すること自体がおかしな話だ。まあ、自由党は山本太郎氏とも手を握っているのだから、共産党と協力したって何もおかしくはない。そこには政治的なスタンスなど関係ないのだろう。
しかし、共産党は違うだろう。そうした政党と手を組んだ結果、党勢が低迷することを容認するのだろうか。もちろん、野党統一に乗った結果、共産党が低迷するとすれば、それは日本の今後にとって歓迎すべきことは言うまでもないが。