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2020.11.10

米大統領選後の世界は歴史的転換点になるか

米大統領選はバイデン氏の勝利がほぼ確定した。トランプ大統領による訴訟の行方によっては違う結論になる可能性も残っているが、バイデン氏が次期大統領に就任することを前提に世界は動き出しているのだろう。米国と中国の覇権争いが激化する中での大統領の交代が米国の対中戦略の転換を意味するものなら、日本にとって大きな影響が出ることは避けられない。

 

2019年の各国の名目GDPをみると米国が第1位で約21兆ドル、2位が中国の約15兆ドルだ。ちなみに日本は第3位で約5兆ドルとなっている。10年前の2009年をみると、1位が米国の約14兆ドル、2位が日本で約5兆ドル、3位が中国でこちらも約5兆ドルだ。この10年で中国は世界第2位の経済大国に躍進した。

今後とも世界第1位の米国に挑戦できるのは中国だけであり、国際社会の中での影響力、軍事力ともに米国に肉薄していくのだろう。

 

そうした中国に対するトランプ政権の考え方は、ペンス副大統領が2018年10月4日にハドソン研究所で行った中国政策に関する演説に示されていた。

そこでペンス氏は「ソ連の崩壊後、我々は中国の自由化が避けられないものと想定した。21世紀に入ると、分別のある楽観主義をもって中国に米国経済への自由なアクセスを与えることに合意し、世界貿易機関に加盟させた。これまでの政権は、中国での自由が経済的だけでなく政治的にも、伝統的な自由主義の原則、私有財産、個人の自由、宗教の自由、全家族に関する人権を新たに尊重する形で、あらゆる形で拡大することを期待してこの選択を行ってきた。しかしその希望は達成されなかった」と述べている。

 

オバマ政権までは、中国が経済的に発展するにつれ民主化の道をたどるとの期待を抱いていたが、ペンス氏はそれが幻想であることを明確化したわけだ。

 

さらにペンス氏は「米国を西太平洋から追い出し、米国が同盟国の援助を受けることをまさしく阻止しようとしている」「中国の船舶が、日本の施政下にある尖閣諸島周辺を定期的に巡回している。(中略)中国は今日、人工島に建設された軍事基地の列島上に、高度な対艦ミサイルと対空ミサイルを配備した」などと軍事的な膨張を懸念。

その上で「自由で開かれたインド太平洋というビジョンを前進させるために、インドからサモアに至るまで、地域全体で価値観を共有する国々との間に、新たにより強固な絆を築いている。我々の関係は支配ではなく、パートナーシップの上に築かれた尊敬の精神から生まれている」と強調している。

 

以上のペンス演説を見れば、トランプ政権が「中国との経済・戦略的関係をリセット」(ペンス氏)したことは紛れもない事実だった。

 

バイデン氏の対中政策はまだ明らかではないが、トランプ政権でリセットしたものが、再びリセットされるのか、それとも継続されるのかで、アジアの大国である日本への影響は避けられない。菅首相は臨時国会の所信表明で「我が国外交・安全保障の基軸である日米同盟は、インド太平洋地域と国際社会の平和、繁栄、自由の基盤となる」と述べているが、米国の戦略をみながら、日本としても対中関係を構築していくことになるのだろう。

 

(terracePRESS編集部)

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