菅政権100日の現実
菅政権が9月16日に発足して以来100日が経過した。この間菅政権は、新型コロナウイルス感染症対策をはじめ、日本の方向を決める新しい戦略の策定など多様な課題に挑戦した。しかし、新型コロナの感染再拡大を受け、内閣支持率は急落している状況となっている。支持急落の要因の一つが国民とのコミュニケーション不足と言えるが、これまでの通り着実な仕事を継続すれば、再び多くの支持を得る日も遠くはないだろう。
菅首相は12月25日の記者会見で、就任して100日が経過したことについて「総裁選でお約束したように、まずは新型コロナウイルス対策に全力を尽くし、さらに我が国で長い間先送りされてきた課題、グリーン社会、デジタル化、少子化対策について答えを出し、皆さんに我が国の将来の絵姿を具体的に示すべく、全力で取り組んできた。不妊治療については来月から助成の金額を拡大し、所得制限をなくし、22年度から保険適用する。携帯電話の料金については、大手が相次いで現在の半額程度となる20ギガ2980円とするプランを発表した」と述べている。
発足以来、驚くべきなのが10月の「2050年カーボンニュートラル」宣言だろう。この首相の宣言を受けて、12月25日には「2050 年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定している。
成長戦略は「温暖化への対応を、経済成長の制約やコストとする時代は終わり、国際的にも、成長の機会と捉える時代に突入した」と述べた上で「従来の発想を転換し、積極的に対策を行うことが、産業構造や社会経済の変革をもたらし、次なる大きな成長に繋がっていく」と強調している。
国難ともいえる少子高齢化が急速に進み、今後の経済に不安が漂っていた日本にとって必要だったのは、まさに「次なる大きな成長に繋がる」ための方針だ。新型コロナ禍で発足間もない政権が、感染対策を行いながら、このように日本の将来を方向付け、国際競争に立ち遅れないための成長戦略を策定したのだ。まさに仕事をしているのだ。
しかしながら、菅内閣の支持率は急減している。最新の数字で言えば日経新聞が25~27日に実施した世論調査では、菅内閣の支持率は42%となり、前回の11月調査から16ポイント低下した。不支持率は16ポイントの上昇の48%となり、支持率を上回っている。
政府の新型コロナ対策を評価しないとしているのは59%となっており、新型コロナ対策への不信が支持率の低下につながったとみられる。
新型コロナは現在、日本だけでなく欧米でも拡大している。隣国の韓国も同様だ。ウイルスの活動が活発化する時期だけに、再び〝猛威〟を振るっている。
しかし、日本では一時、GoToトラベルが感染の要因のように捉えられ、菅政権の対する不信の中心もGoToトラベル停止の判断遅れと言われている。
GoToが感染拡大の要因とは断定できないなかで、感染対策と経済の両立をぎりぎりまで図るのは政治の務めだ。景気の低迷で経営難に直面している宿泊業など地域経済を支える自営業者らが多い中で、バランスを取る方策を取ることも必要なのは言うまでもない。その菅政権の姿勢が、再び支持される時が来るだろう。
(terracePRESS編集部)