「変革の年」を目指す菅政権
菅首相は4日、年頭の記者会見を開いた。新型コロナウイルス感染症対策として首都圏1都3県への緊急事態宣言の発令することを事実上表明した。メディアではコロナ対策ばかりが取り上げられたが、首相は改めて足元に加え中期的な展望も示し「変革の年」を目指すことを表明した。
菅首相は記者会見で、コロナ対策を説明後、現在実行している改革について「就任以来100日余り、これまでの発想にとらわれない改革を続けてきた。できるものから実現し、国民の皆さんに成果をお届けする。私は、令和3年をそんな年にしたいと思う」と述べた。
足元の改革については、携帯電話料金、地方活性化、少子化問題対策などを示している。携帯については「大手が相次いで現在の半分程度となる大容量プランを実現すると発表し、本格的な競争に向けて大きな節目を迎えた」と言及。地方活性化などについては「1兆5000億円の交付金を用意し、地域社会の立て直しを進めていただきたい。また、5年間で15兆円規模の国土強靱化にも取り組む」などと述べた。
さらに少子化問題については「これからの世代が希望を持てる年にしたいと思う」と強調。不妊治療の保険適用を来年4月から開始することのほか、現行の助成制度も、所得制限を撤廃して2回目以降の助成額を倍にした上で1月1日に遡って適用することを改めて表明した。
また「今後4年間かけて14万人分の保育の受け皿を整備し、待機児童問題の最終的な解決を図る。加えて、長年の課題だった35人学級を本年から実現し、生徒一人一人に行き届いた教育を進める」などと述べ、少子化対策を今後も継続する考えを示した。
その上で「次の時代の成長の原動力となるのがデジタルとグリーン」と中期的な改革について言及。今年9月にデジタル庁をスタートさせることを契機として「全ての国民が恩恵を実感することができるデジタル社会を目指す」と述べた。
また、2050年カーボンニュートラルについては「年末に取りまとめたグリーン成長戦略を更に具体化し、できるものから実行に移す。2兆円の基金、税制を活用し、再生可能エネルギーの鍵となる蓄電池を筆頭に、大規模な設備投資や研究開発投資を実現する」と表明し、成長志向型の政策を展開することを強調した。
外交面では「日米同盟を基軸にしながら、豪州、インド、欧州、ASEANなど、様々な国、地域と連携を深め、自由で開かれたインド太平洋の実現に取り組む。同時に、中国、ロシア、近隣諸国との安定的な関係を築く」とした。
新型コロナという未曽有の国難に直面する中で、コロナ対策が重要なことは論を待たないが、その中でも成長戦略を欠くことになれば、次世代に明るい未来を残すことはできない。首相は「後に令和3年を振り返ったとき、その年が新たな成長に向かう転機となった変革の年であった、こう言われる年にしたいと思う」と述べているが、菅政権は次世代社会づくりを着々と実行している。
(terracePRESS編集部)