terrace PRESS

CATEGORY政治

2021.05.28

2050年目指し農業の生産力向上図る戦略策定

「カーボンニュートラル」や「持続可能な開発目標(SDGs)」、「デジタル化」など、今後の経済社会の構築に不可欠なキーワードは多い。どのような業界、セクターにおいても、こうしたキーワードに沿った対応が迫られている。農林水産業界ももちろん例外ではなく、農水省は先ごろ、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立を目指すための中長期的な戦略の「みどりの食料システム戦略」を策定した。

 

日本の農林水産業は、担い手の高齢化と減少など生産基盤の脆弱化、大規模自然災害や地球温暖化などの気候問題、地域コミュニティの衰退のほか、新型コロナウイルス感染症を契機とした生産・消費の変化などの政策課題に直面している。

こうしたさまざまな課題に対応し、持続性を確実にする戦略が「みどりの食料システム戦略」で、2050年までに達成する目標などを示している。

 

具体的には、環境への負荷を削減するために、化石燃料などを原料とする化学農薬の使用量を現在の半分に減らすほか、化学肥料の使用量も3割減らす方針だ。

また、「耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を25%(100万ヘクタール)に拡大」と盛り込み、化学農薬や肥料を利用しない有機農業の面積を、現在の約40倍に拡大する。園芸施設についても、化石燃料を使用しない施設に完全移行する。さらに、農業機械や漁船を電動化する技術の確立を2040年までに目指す。

 

生産力の向上についてはスマート農業の推進が不可欠と考えられ、「ドローンによるピンポイント農薬・肥料散布の普及」や「ドローン等を活用したリモートセンシングによる生育・病害虫管理技術の確立」、「ICT機器を活用した個体管理による事故率の低減や家畜疾病の予防」などの多様な施策を推進する。

 

「みどりの食料システム戦略」では国民の食生活についても言及。「栄養バランスに優れた日本型食生活の総合的推進」を図るため、「栄養バランスに優れた日本型食生活に関する食育・地産地消の推進」や「日本型食生活の腸内環境や免疫等への効果の検証、「野菜や果実など健康上必要とされる量を摂取できていない食品の消費拡大」、「食生活と健康に関する医学的知見・科学的根拠の蓄積と情報発信」などを行っていくという。

 

この戦略は、生産力向上と持続性の両立をイノベーションによって実現するもので、持続可能な農山漁村を創造したり、サプライチェーン全体を貫く基盤技術の確立と連携を図ったりすることで、最終的には「雇用の増大」や「地域所得の向上」「豊かな食生活の実現」などを目指す。

新型コロナは、農林水産物の市場価格の低下などマイナスの影響が出た一方で、生産者らがオンラインを活用し、消費者への直接販売を強化したり、外食用から小売・加工用への販路変更に取り組むという動きも目立った。

また、テレワークなどの進展により、地方への関心が高まったほか、農山村でのワーケーションが注目されたり、移住を考える人が増えたりして、これまでの潮流の変化もあった。

2050年を目指して食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立を目指し、着実な実行を図らないと、国内農業は一層の脆弱化に見舞われることになる。

 

(terracePRESS編集部)

この記事をシェアする

関連タグ

人気関連記事

投稿種別CATEGORY

  • 政治
    政治
  • マスコミ
    マスコミ
  • 国内
    国内
  • 社会
    社会
  • 事故・事件
    事件・事故
  • 経済
    経済
  • 動画
    動画
  • 法律
    法律
  • 教育
    教育
  • 歴史・文化
    歴史・文化
  • 国際・海外
    国際・海外
  • 特集
    特集
  • インタビュー
    インタビュー
  • その他
    その他

注目タグTAGS