人口減の深刻さを理解できない野党

外国人労働者の受け入れ拡大に向けた出入国管理法(入管法)改正案は参院での審議が続いている。野党側は「欠陥法案」などと指摘し、改正案への批判を強めている。

野党は人口減の深刻さを理解できないばかりか、入管法改正案をステレオタイプ的な安倍政権批判の材料として扱っており、建設的に日本の課題に対処しようという意思のかけらも見られない。

 

人口減は、疾病で例えるなら慢性疾患のようなもので、劇的な症状の変化は現われない。しかし、健康な身体は確実に蝕まれ、やがて対処のしようがなくなるかもしれない。早期に治療をしないと、一気に外科的な手術が必要になるかもしれない。少子高齢化が着実に進展している日本の現状は、そうした病状を呈しているのだ。

 

2015年の日本の総人口は、同年の国勢調査によれば1 億2,709 万人。国立社会保障・人口問題研究所によると、出生中位推計の結果に基づけば、この総人口は、以後長期の人口減少プロセスをたどっていく。2040年の1 億1,092 万人を経て、2053年には1 億人を割り、9,924 万人となる。

 

生まれる子供が減り、高齢者が増えるのだから当然、働き手も減っていく。15歳から64歳の生産年齢人口は1995年の8,726 万人から減少局面に入り、2015年には7,728万人となった。そして出生中位推計の結果によれば、2029年には7000万人、2040年には6000万人、2056年には5,000 万人をも割り込んでしまう。

人口の先行きを見る限り、日本の将来は明るくないのだ。

 

しかし、こうした数字を目にしても「2029年などまだ先の話だ。だから、じっくり対応策を検討するべき」と決め込んでいる人たちもいる。その代表的なのが想像力がまったく欠如している野党だろう。

 

だが、働き手不足は将来の話ではなく、すでに現実の話になっているのだ。国会で安倍首相も説明している通り、産業界は労働力不足に直面しているのだ。それが慢性病のようにじわじわと日本経済の体力を奪っているのだ。

 

内閣府によれば、2015年に6376万人だった就業者数は、労働参加が現状のまま推移すると、2020年に6046万人、2030年に5561万人になってしまう。あと2年もすれば、就業者は5年前より300万人以上減ることになるわけだ。

 

野党は、こうした現実を知らないのか、あえて目を背けているのが分からないが、入管法改正案が成立すると、さも日本の社会が大変な事態になるかのような宣伝をし、政府を批判している。中には「政府は経済界の言いなりになって入管法改正案を押し進めている」との声さえ挙げている。

 

しかし、労働力不足の影響を直接こうむるのは、現在、働いている人々だろう。労働現場では人手不足をなんとかやりくりしてしのいでいるところもある。野党はそんな国民の生活さえ無視するような政党と化しているというほかはない。