中国共産党を礼賛するオワコン小沢氏
中国共産党が7月1日、創建100周年の記念日を迎えた。中国共産党は今や、世界第2位の経済規模となる中国を一党独裁で支配し、アジアで軍事的な圧力を強めている。その中国側に日本の政治家が相次いで祝意を示すメッセージを送っている。儀礼の範囲内で送るのは当然だが、近年の中国の内外での行動を容認してはいけない。
これまで自民党の二階幹事長や立憲民主党の枝野代表らが中国側に儀礼的なメッセージを送ったことが明らかになっている。日本の公党を代表して二階氏や枝野氏が祝意を伝えるのは外交儀礼でもある。
産経新聞によると、枝野氏は記者会見で「香港やチベットなどに対する人権侵害については甚だ遺憾だ。もろ手を挙げてお祝いする状況ではない」と指摘した一方「『北京政府』(中国政府)とわが国は物理的に避けられない近い距離にあり、その政権を担う政党に対する儀礼的なメッセージは党国際局で用意している」と述べている。
しかし、こうした外交儀礼にも細心の注意は必要だ。中国国営の新華社通信によると、立憲民主党の小沢一郎衆議院議員が中国側に送った祝辞で「創建以来、幾重もの困難を克服し、中国を大きな政治的、経済的影響力を持つ国に成長させた」と評価し、「国際社会が中国にかつてない大きな期待を寄せている」などと述べたという。
確かに、中国共産党が中国を政治的、経済的影響力を持つ国に成長させたことは間違いない。しかし、その一方で公正な国際的ルールに基づいて国際社会で行動しているとは言えず、国内では言論や表現の自由を認めていない。また、香港やチベットなどで人権侵害や人権弾圧を繰り返している。
軍事力を急速に拡大し、南シナ海や東シナ海で軍事的な緊張を高めているのも疑いのない事実だ。
6月11日から13日まで開かれたG7サミットの首脳コミュニケでは「中国に関して、そして世界経済における競争に関して、我々は引き続き、世界経済の公正で透明性のある作用を損なう非市場主義政策及び慣行という課題に対する共同のアプローチについて協議する」と指摘。
また「我々は、包摂的で法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋を維持することの重要性を改めて表明する。我々は、台湾海峡の平和及び安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的な解決を促す。我々は、東シナ海及び南シナ海の状況を引き続き深刻に懸念しており、現状を変更し、緊張を高めるいかなる一方的な試みにも強く反対する」と盛り込んでいる。
小沢氏は中国へのメッセージで「国際社会が中国にかつてない大きな期待を寄せている」などと強調したが、国際社会が期待しているのは、中国の行動変容だ。
民主主義や自由、平等、法の支配、人権の尊重、オープンで公正なルールに基づく国際競争への参加という普遍的な価値観への同意を期待しているのであって、現在の中国の行動を容認したものではない。
中国と西側諸国は現在、かつてないほどの緊張に包まれている。そうした状況にありながら、もろ手を挙げて中国共産党を礼賛する小沢氏はやはり、終わったコンテンツ、つまり〝オワコン〟なのだろう。
(terracePRESS編集部)