宣言拡大で医療機関の確保が不可欠
新型コロナウイルス感染症が急拡大し、緊急事態宣言が20日から13都府県に拡大される。政府は、医療体制の構築、感染防止の徹底、ワクチン接種を3本柱として対策を進める方針だが、中でも重要なのは医療体制の構築だ。酸素ステーションなど酸素の投与ができる体制の構築はもちろんだが、患者を受け入れる医療機関の確保も不可欠だ。
菅首相は17日の「新型コロナウイルス感染症対策本部」で、医療体制について「最優先の課題は、患者の命を救うための医療体制の構築。症状が重い方がきちんと入院できるように病床を確保し、ホテル療養を含め、最大限の上積みを行う。急増している自宅で療養する患者の方々と必ず連絡が取れるように、電話診察などを強化し、酸素ステーションなど、酸素の投与ができる体制を構築する。重症化を防ぐため、画期的な新薬である中和抗体薬について、病院はもちろん、ホテルを臨時の医療施設として、積極的に使用する」と述べている。
医療体制をめぐっては、新規陽性者の急増などを受けてテレビのニュース番組などで、救急搬送する患者の受け入れ病院が決まらず、何時間も救急車に待機せざるを得なかったケースなどが紹介されている。
確かに病床の確保が困難になっているのは事実だろう。病床が足りないのも事実だろうが、都道府県が確保している病床が実際に使われていない状況があることも否定できないようだ。
厚労省は8月6日に各都道府県衛生主管部(局)向けに「新型コロナウイルス感染症患者等入院医療機関について」という事務連絡を発出している。この通知は「新型コロナウイルス感染症患者等入院医療機関」という都道府県がコロナ用の病床を確保している医療機関が、受け入れていない状況があることを示している。
通知は「都道府県から新型コロナウイルス感染症患者等の入院受入要請があった場合は、正当な理由なく断らないこと」「適切に受入れを行っていない医療機関がある場合、入院受入要請を正当な理由なく断っている医療機関がある場合等には、当該医療機関に対して、改めて入院受入体制等を聴取して適切な受入れを要請するなど、確保した即応病床が実効的に活用されるようにすること。聴取の結果、当該医療機関の入院受入体制等では適切な受入れが困難な場合は、当該医療機関の即応病床数を見直すこと」などと記載している。
厚労省が都道府県に対し、正当な理由がないまま受け入れをしていない医療機関に指導を求めているわけだ。もし、受け入れない医療機関がある場合は、計画通りの対応すら難しくなる。
医療態勢の構築は現在が正念場だ。菅首相が述べたように病床を最大限確保し、ホテルなども確保しながら新薬である中和抗体薬を利用し、治療を積極的に行うことが不可欠。同時に、自宅療養ができるように酸素ステーションなど酸素の投与ができる体制を構築することが急務だ。必要なのはスピード感となっている。
(terracePRESS編集部)