いま一度問われるべき立憲・共産の共闘
衆院選は、立憲民主党が共産党と共闘して選挙戦を戦っている。その共産党は日米安保条約を廃止し、自衛隊を解消することを目指している政党だ。さらには、将来的には「生産手段の社会化」で国有化することなどを目指している。立憲民主党は政権を獲った場合、時限的とは言え、そんな政党に閣外協力をしてもらうというのだ。衆院選は日本の安全を守れるか、民主主義を守れるかの選挙となる。
先ごろ、中国とロシアの軍艦10隻が5日間、日本を包囲するように巡回した。両国が協力して大規模な武力示威を行うというこれまでにない行動だ。両国の艦艇は10月18日に北海道と青森県の間の津軽海峡を通過して太平洋に進出、そこから南下して22日に鹿児島県大隅海峡を通過し、東シナ海に抜け出た。
国際情勢は日々変化するものだ。こうした事態が、例えば10年前に予測できただろうか。だからこそ、国の安全保障は10年後、20年後など長期的な視野に立って対応しなければならない。
尖閣諸島にしてもそうだ。現在、中国・海警局の艦艇がたびたび領海侵入を繰り返している。しかし、これは2012年9月から急に出始めた動きだ。
共産党は日米安保を廃棄し、自衛隊の解消を目指す政党だ。安全保障は外交で行うという非現実的な方針を掲げているが、それは政党の主張としては、容認すべきかもしれない。もちろん、その政策で日本の安全保障を確保できる可能性はゼロでしかないが、そういう政策を持つ政党として、有権者の判断に委ねるべきだろう。
問題は立憲民主党だ。政権公約として「健全な日米同盟を基軸としながら、豪州やインドなどアジア太平洋地域、とりわけ近隣諸国との多国間協力を推進するとともに、各国との連携を強化した現実的な外交・安全保障政策を進める」としている。
もちろん、安保法制について「違憲部分を廃止する等、必要な措置を講じ」(立憲民主党 政策集2021)としており、現実の国際情勢と日本の安全確保の認識が極めて希薄な部分があるのだが、少なくとも日米安保を廃棄するという共産党のような非現実的な政策ではない。
問われるべきは、日米安保を破棄すると明言している共産党と共闘を進めた立憲民主党の姿勢だ。日米同盟、日米安保は日本外交の基軸だ。そして外交政策は政党としての根幹の1つでもある。
立憲民主党は、その根幹部分が全く異なる政党と共闘し、政権を獲った場合は、限定的と言いながらも共産党が閣外協力することで合意しているのだ。
結局、立憲民主党は選挙のためなら、根幹部分、基本政策が異なる政党とも共闘したわけだ。
立憲民主党は、共産党とは限定的な閣外協力だから、政権運営上、例えば、日米同盟に関しては共産党の影響は受けないと説明するだろう。
しかし、問われるべきはそこではない。基本政策が異なる政党と共闘したことだ。ある意味、それは有権者への裏切りであり、まやかしだ。だからこそ、いま一度、立憲民主党と共産党の共闘は問われるべきなのだ。
(terracePRESS編集部)