幻に終わった?野党共闘
夏の参院選をめぐる立憲民主党、共産党、国民民主党などの野党共闘が幻に終わったといえそうだ。昨年の衆院選ではいわゆる「市民連合」(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合)を媒介に立憲、共産、社民、れいわの各党が共闘し、統一候補なども擁立したが、立憲など大敗を喫している。理念も政策も異なる政党が選挙で共闘しても、それは票目当ての〝野合〟でしかなかったのだ。
野党共闘が困難になった要因の一つが、連合が参院選に臨むために決定した基本方針。方針では、立憲民主党や国民民主党への支援を明示せず「候補者本位で臨む」としたうえで、「目的や基本政策が大きく異なる政党と連携する候補者は推薦しない」としている。
昨年の衆院選では立憲民主党や国民民主党に対して「支援する」と記載していたが、今回は「連合の政策実現に向けて、それぞれと引き続き連携を図ることを基本としつつ、今回は、候補者本位で臨む」との記載にとどまった。
さらに、党名の明示は避けながらも「目的や基本政策が大きく異なる政党と連携する候補者は推薦しない」としている。
これについて連合の芳野会長は会見で「共産党は念頭に置いている。日本維新の会を含め、その他の政党については、地域によって事情が違うので、地域で判断することになる」と説明している。
一方、立憲の泉代表は25日の記者会見で、連合が「目的や基本政策が大きく異なる政党」の党名を明示しなかったことについて「中執委では共産党と維新の会という名前で議事が進んだと聞いている」と述べている。
つまり、この連合の基本方針は「共産党排除」を色濃く打ち出したものといえ、その共産党と立憲民主党が共闘するのは極めて困難になった。
さらに国民民主党が衆院採決で政府予算案に賛成したことで、立憲との距離が大幅に広がった。立憲の泉代表は同日の記者会見で「少なくとも立憲民主党は国民民主党から事前の説明を受けていない。現在に至ってもその真意や自民や岸田総理とどのようなやりとりがったのか、説明も受けていない。国民民主党が(立憲との)信頼関係をどのように考えているのかが問われる」と不信感をあらわにしている。
一方、共産党の志位委員長は24日の記者会見で、国民民主の玉木代表が「共産党との連携は困難だ」との考えを示したことに対して「先方も同じ考えだったということだ。私たちは(国民民主党との協力をするための)条件がなくなったと考えている」と述べている。
以上の状況をみれば、野党が一致して夏の参院選に臨むことが極めて困難になっていることが分かるだろう。しかし、実はそれはこれまでの野党共闘に問題があったことを示している。
経済政策、福祉政策、外交・安全保障などの政策が異なるにもかかわらず、選挙の際だけ共闘するという単なる野合をしていたツケが噴出し、それが今の状況に現れているといえるだろう。
参院選に向けて今後、野党の協力体制ができるかできないか現在のところ、最終形はまだ見えていないが、野合するような政党があれば、それは国民にとって何も益がないことは間違いない。
(terracePRESS編集部)