政府の〝対応遅れ〟をいうメディアの無知
ウクライナへ侵攻したロシアをめぐり岸田政権は欧米諸国と歩調を合わせた制裁を打ちだしているほか、各国首脳と外交努力を続けている。国内メディアは「欧米より制裁の実施が遅い」などと、国際的な非常事態となっても相変わらずの〝政権批判をすればいい〟というモードを続けている。
これまでの政府の対応を見ると、ロシアがウクライナに侵攻した2月24日以降の政府の国際的な対応をみると、24日に日本とEUの外相による電話会談、G7首脳テレビ会議、25日に日ウクライナの外相電話会談、26日に日米外相電話会談、日ポーランド電話会談、27日にG7外相会合、28日に日ウクライナ首脳電話会談、3月1日にはウクライナ情勢に関する首脳電話会議、日仏首脳電話会談など、連日の外交が展開されている。
この一連の動きの中で岸田首相は27日の記者会見で、欧米諸国が決定した国際銀行間通信協会(SWIFT)からのロシアの特定銀行の排除などロシアを国際金融システムや世界経済から隔離させるための措置についての参加を表明した。
これに対してメディアからは「日本が欧米より遅れて声明を出すこととなった理由」といった質問が出された。会見で「遅れたとは認識していない。今回の事態に対して日本は、これまでもG7を始めとする国際社会と連携し対応しており、そうした立場は変わらない。欧米諸国からこの声明への参加要請があり、日本もこの取組に加わっていくということを決定した」と説明している。
しかし、メディアは「ウクライナに侵攻したロシアへの制裁に関する日本政府の表明が欧米各国よりワンテンポ遅れている」(時事通信)といった記事で、あたかも日本政府の対応が後手になっているかのような印象を与えている。
そもそも、岸田首相は24日のG7首脳テレビ会議で「G7の一員として完全に連帯して対処する」旨を表明した上で、それまで決定していた資産凍結、ビザの発給停止、輸出入の禁止措置の導入などを説明した後、「金融、輸出管理等の分野で、米国・欧州諸国と足並みをそろえて速やかに更に厳しい措置をとるべく取り組んでいる」といった趣旨の説明をしている。
この岸田首相の「足並みを揃えて」という発言は非常に重要で、歩調を合わせることを各国に表明したことになる。こうしたことをメディアは理解できていないのだろう。
SWIFTからのロシアの銀行排除については、ロシア2位の「国営VTB」や「バンク・ロシヤ」など7行とされている。ロシア最大手の国営ズベルバンクなどが除外されたが、対象となった銀行は米ドルやユーロといった主要な外貨の受け取りができなくなり、制裁の効果は出るだろう。
いずれにしても、岸田政権は多角的な外交を続けており、欧米諸国と歩調を一致させている。メディア報道だけに頼るとあたかも政府が後手に回っているような印象を受けるが、決してそうではない。「批判すればいい」というスタンスのメディアからは真実は見えてこないのが現実だ。
(terracePRESS編集部)