問われるのは「持続的な成長」「社会保障」「国民の安全・安心」
衆院選は「政権選択」といわれ、実際、マスコミでも「政権選択」の文字が躍っている。「政権選択」といったとたん「自民党」か「立憲民主党」かという単純な構図になるが、問われるべきは「持続的な成長」や「社会保障」「国民の安全・安心」をどの政党が実行できるかということだろう。
「政権選択」という限り、現在の「政府与党」と野党、〝立憲民主党政権〟との選択ということとなるだろう。現在の「政府与党」は政府と自民党と公明党で構成しているわけだから、一方に政府と自民党、公明党、他方に〝立憲民主党政権〟を置き、政策を比較しなければ正しい「政権選択」とはならない。
そして、その政策を比較して、どちらが持続的な成長を実現し、社会保障を充実させ、国民が安全で安心できる社会を構築するかが問われることとなる。
現在、「分配」が注目されているが、成長がなければ「分配」できないことは自明であり、立憲民主党がいうような「分配」だけで経済を牽引するという政策が破綻することは明らかだから、これは措くとしよう。政権選択というならそのほかのさまざまな政策を点検すべきなのだ。
では、例えば「災害対策」はどうか。現在政府は、国土強靱化計画について2021年度から5年間の加速化対策を実施し、総額15兆円程度を投資することを決めている。対象となる事業もきめ細かく、例えば建物の耐震化、地下街の耐震化、道路ネットワークの機能強化など極めて多くの事業を進めている。
自民党は公約で「『防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策』を着実に実施する」とし、さらに、「総合政策集2021 J-ファイル」では「大規模地震に備えたインフラ整備」「都市防災の推進」から「線状降水帯等の自然災害に関する観測・予測・分析の向上」など極めて多くの政策を掲げている。
これに対して立憲民主党の公約では「『危機管理・防災局(仮称)』を設置することで、戦略的で効果的な対策を進める。実動部隊である『生活支援隊(仮称)』の創設を目指し、危機対応を抜本強化する」「災害で誰も取り残されることのないよう、高齢者や障がい者などが避難計画策定や防災教育段階から関与する『インクルーシブ防災』を推進する」という程度の〝政策〟しかないのだ。
そして、驚くべきことに、「立憲民主党 政策集2021」では「情報収集、発信、避難計画および実施、避難所運営などをする分権型の防災体制をつくる」としている。危機管理は一定程度、トップダウン式の体制ではないと実効性を担保できないということすら理解できていないのだろう。中央政府の窓口が一本化され、地方政府の窓口も一本化し、中央政府の方針が地方政府に直に届くような仕組み、ラインを作ることが即応につながる。
もちろん、分権という思想は必要だが、危機の度合いによっては〝中央集権型〟の方が効果があがる。
いすれにしても、政府は現在、さまざまな政策を実施し、さらに自民、公明両党が与党としての政策を策定している。「政権選択」というのなら、こうした災害対策や成長戦略、安全保障、社会保障など多面的に考えることが不可欠だ。
(terracePRESS編集部)