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オミクロン株に機動的対応する岸田政権

新型コロナウイルス感染症は、欧米を中心にオミクロン株が猛威を振るっている。日本でも年明けから新規感染者がやや増加傾向を示しているが、政府は昨年11月に「次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像」をまとめているほか、岸田首相が「重点を国内対策に移す準備を始める」と表明した。感染症だけに先行きは予断を許さないが、政府の機動的な対応に期待したい。

 

新型コロナをめぐっては、相変わらずメディアが新規感染者数について、前週と比べて〇人増えたとか、何日連続で〇〇人を突破したなどと、〝一喜一憂報道〟を続けている。例えば、仕事始めの4日は東京の新規感染者が151人と発表されたが、メディアは「先週の火曜日より105人増え、2日連続で100人を上回った」などと報じた。しかし4日現在で、東京で入院している感染者のうち都の基準で「重症者」とされる人は2人だけだ。

 

米国では、3日の新規感染者が100万人を超えている。それも数日前の約59万人から一挙に2倍近くになったことになり、日本とは比較にならない深刻な状況だ。

 

それでも岸田首相は4日の記者会見で「国内における予防・検査・早期治療の枠組みを一層強化し、オミクロン対策の重点を国内対策へと移す準備を始める」と表明。陽性者を全員入院、濃厚接触者を全員宿泊施設待機としている現在の取組を見直す考えのほか、現在の水際対策の骨格の維持、高齢者への3回目のワクチン接種のさらなる前倒しを行う方針も示した。

 

首相はさらに、メルク社の飲み薬について「全国1万を超える医療機関、薬局が登録を済ませた。そのうち約5000に薬をすでに届けている」と指摘。ファイザー社の経口薬については「今月中に購入に関する最終合意をし、2月中、できるだけ早くの実用化を目指す」と語っている。

 

首相は3日にも松野官房長官や後藤厚労相ら関係閣僚を首相公邸に呼び、新型コロナウイルス対策について協議し、オミクロン株が増加傾向にあること対し「臨機応変にしっかりと国内対策に取り組んでいかないといけない」と指示している。

 

こうした政府の姿勢をみれば、順調に対応していることが分かるだろう。そもそも政府は昨年11月に「次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像」をまとめており、最悪の事態を想定した次の感染拡大への備えも進めている。

この「全体像」では、新型コロナウイルスの感染力が例えば3倍となり「医療がひっ迫するなど、それ以上の感染拡大が生じた場合には、強い行動制限を機動的に国民に求めるとともに、国の責任において、コロナ以外の通常医療の制限の下、緊急的な病床等を確保するための具体的措置を講ずる」などと規定している。

 

感染症対策は、対策を緩めるアクセルと、強めるブレーキを使い分けることが不可欠だ。ワクチンや経口薬だけでなく、岸田政権はすでに、この対策により病床も確保しているなど、感染が急拡大した場合のブレーキも事前に備えている。

 

(terracePRESS編集部)

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