共産党との野党共闘を否定しない立憲民主党
昨年の衆院選での立憲民主党の敗北は、共産党との共闘が原因といった見方が一般的になっている。今年は参院選があり、両党の協力関係がどうなるのか注目を集めるが、立憲側からは現在も方針が示されていない。票目当ての共闘という野合を進めるとすれば、再び有権者から拒否されるだろう。
立憲民主党の泉代表は、新代表に選出された昨年11月30日の臨時党大会後の記者会見で、共産党との今後について問われ「衆院選では多くの努力を頂いたが、単に継続ではなく、しっかり党として総括しなくてはならない」と述べている。
しかし、この臨時党大会から1カ月を経過した現在も、立憲民主党が総括したという話しは聞いたことがない。立憲の泉代表は9日のNHK番組で、「政権を構成する政党として、共産党は想定にはない」と述べ、立憲が政権を取った場合に共産党と政権を構築することは否定してみせた。
だが、これまでも立憲民主党が政権を取った場合に共産党が政権に加わるという合意があったわけではない。昨年の衆院選で、共産党が閣外協力するという合意をしていただけで、政権を構成する政党として共産党があったわけではない。
つまり、泉代表はこのNHK番組で、これまでと同じ当然のことを述べたに過ぎないのだ。もちろん、共産党との野党連合政権を目指すという可能性を否定したという意味はあるのかもしれないが、そもそも立憲と共産党を含めた野党連合政権を望むのは共産党ぐらいしかないだろう。
要するに、立憲民主党に問われているのは、選挙での共産党との共闘ということになるのだが、泉氏は同番組で「(選挙の)候補者調整や政権を交代させる部分で共通するところはある」と述べ、候補者の一本化などの野党共闘について否定はしていない。
泉代表がこうした曖昧な姿勢に終始するのは、前述したとおり、立憲が共産党との共闘について総括していないからだ。
一方、立憲の支持基盤である「連合」は昨年12月16日、衆院選に関して「共産党との関係が構成組織が一丸となって戦うことの困難さを増長させた」などとする総括をまとめている。特に共産が掲げる「野党共闘」については「(共産党の)綱領に基づく統一戦線の1つの形であり、共産主義社会実現のための手段であることは明確だ」と強調している。衆院選で有権者が危惧したのは、まさにこの連合の指摘のように、野党共闘が「共産主義社会実現のための手段」になることを懸念したためだ。
立憲が共産党との関係を総括していないということは、こうした懸念がまだ解消されていないということだ。共産の志位委員長は同じNHKの番組で、参院選について「共闘の体制をつくっていきたい」と述べ、改選1人区で野党統一候補の擁立に努力する考えを強調している。
国民にとって重要なことは民主主義社会を守り、経済成長することによって国民の福利を向上させていくことだ。決して社会主義、共産主義社会を構築することではない。野党統一候補は、そうした社会に進む第一歩となってしまう。
(terracePRESS編集部)