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代替施設を争点にすべきでない名護市長選

沖縄県名護市長選が23日、投開票される。現職の渡具知市長と岸本・同市会議員の一騎打ちとなるが、同市は中心市街地の活性化や医療体制の強化などさまざまな課題を抱えており、市長選は同市の将来にとって重要な選挙となる。米軍普天間飛行場の返還に向けた辺野古の代替施設にも有権者の関心はあるだろうが、地域づくりの議論を進めるためには辺野古の代替施設を争点にしてはいけない。

 

代替施設をめぐっては、沖縄県は昨年11月、埋め立て海域の軟弱地盤の改良工事を追加する沖縄防衛局の設計変更を不承認にしたほか、年末には、埋め立て承認撤回を取り消した国交相の裁決が違法だとして、裁決取り消しを求めた抗告訴訟で福岡高裁那覇支部の判決に不服があるとして上告している。

 

沖縄県は、工事を巡る許可や承認の主体としてこうした〝法廷闘争〟を行っているが、それは県の判断であり、名護市自体はそれに関与しているわけではない。それにも関わらず、玉城知事はもちろん、辺野古の代替施設建設に反対するオール沖縄などは、代替施設の建設を市長選の争点にしたい考えだ。

 

先ごろ開かれた「日米安全保障協議委員会」、いわゆる「ツープラスツー(2+2)」の共同発表では、辺野古代替施設について「閣僚は、普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策である、キャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域における普天間飛行場代替施設の建設継続へのコミットメントを強調した」としている。

 

日米両政府の間では、辺野古の代替施設について沖縄県宜野湾市にある米軍普天間飛行場の固定化を避けるための「唯一の解決策」との共通認識がある。それというのも、住宅街のど真ん中にある飛行場の危険性を除去しようという方針があるからだ。

 

仮に、辺野古の代替施設建設を中止したら普天間飛行場の返還が不可能になるし、中止した際の代替手段を探すと言っても、沖縄県や名護市などの自治体には不可能だ。辺野古の代替施設建設に反対することは、普天間飛行場周辺の危険性除去について何ら責任を持たないままでの一方的な主張にすぎない。

 

名護市は現在、さまざまな課題に直面している。経済の活性化や都市整備など待ったなしで進めなければならない。名護湾に面した地域の一体的な整備は不可欠だし、特に名護漁港周辺や中心市街地の整備、活性化が必要とされている。

また、医療体制の整備も必要で、特に沖縄県本島の北部地域を見据えた医療体制の構築が求められている。さらに、市内の道路整備や将来的に那覇市と名護市を結ぶ鉄道構想の推進も不可欠だ。

 

名護市はこうしたさまざまな課題に直面しているのだが、市長選で仮に辺野古の代替施設建設が争点になったら、住民は、こうした生活に直結する課題への関心さえ失ってしまうだろう。

 

市長選では、次世代にどのような名護市を引き継ぐのか、経済を活性化させ、住みやすい地域をどう作るのか、そのことこそが議論されるべきだろう。そのためには、辺野古の代替施設を市長選の争点にしてはいけない。

 

(terracePRESS編集部)

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