驚かされる立憲・泉代表の政治センス
ロシアのウクライナ侵略で、世界各国の政治指導者が平和の維持に向けてさまざまな取り組みを進めている。政治家には世界観や歴史観をはじめ、知識や政治への姿勢、センス、国民への思いなどさまざまなことが求められる。しかし、中にはその政治センスのなさに驚かされる政治家もいる。立憲民主党の泉代表はまさに、そのような1人なのかもしれない。
泉代表は2日午後、奈良市で演説したが、驚かされたのは、その演説の中身だ。朝日新聞が伝えたところによると、泉代表は「『憲法改正に賛成ですか。反対ですか』という質問が来たら『その質問、アホじゃないですか』と言ってあげてください」と発言。
また、「『法律の改正に賛成ですか、反対ですか』と聞かれたら、みなさんどう答えます。『そんなもん、中身を教えてもらわなければ、賛成も反対もないじゃないの』と言うに決まっていますよね。なのになんで憲法は中身も聞いていない、中身も決まってないのに、賛成か反対か聞かれて、賛成だとか反対だとか言うんですか。こんなおかしな議論にだまされちゃいけない」と述べたという。
一見まともな主張のように感じられるが、こんな〝おかしな主張にだまされてはいけない〟というべきだろう。
もしある法律が時代に合わなくなったら、経済社会の実態に合わせて改正しなければならない。どう改正するかはもちろん、議論が必要だ。これが普通のプロセスというものだろう。
日本国憲法が施行されてから75年になる。この間、日本の内外環境は大きく変わった。経済成長を果たし、日本の国際的な役割は格段に向上した。もちろん、75年経過しても基本的人権を尊重しなければならないという普遍的価値は何も変わらないが、一方、阪神・淡路大震災や東日本大震災という大災害があったし、新型コロナウイルス感染症という未曾有の疫病も発生した。
そして、現在、ロシアがウクライナを一方的に侵略し、世界各国で安全保障のあり方が見直されている。
もちろん、国民は日本国憲法の中身、内容は知っている。そのうえで、こうした内外環境の変化に、現在の憲法がマッチしているか否かがまず問われているのだ。それが、憲法改正が必要かどうかの問いなのだ。
憲法の「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」という平和主義の理念は保守する必要があるが、その平和主義を貫くため、日本の国民の生命・財産を守るために、今後日本がどのようにしていくかが問われているのだ。
泉代表は「憲法は中身も聞いていない、中身も決まってない」と言うが、少なくとも自民党は4項目の改正試案をまとめている。立憲民主党も同様に改正案を提示することによって、さらに国民の議論が深まるのだが、それすらしないのは、もはや手抜きの政治だ。
メディアも世論調査でたびたび憲法改正の賛否を問うているが、泉氏にとってはそうしたメディアも〝アホ〟だし、質問も愚問ということになるわけだ。
いずれにしても、泉氏には日本を今後、どのような国にしていくのかという姿勢も考えもないのだろう。
(terracePRESS編集部)