民主政権の失敗どこ吹く風?
国民民主党の玉木代表が、先ごろ開いた同党の全国幹事会・自治体議員団役員等合同会議で、自由党との合流について「自民党に代わる選択肢を作るのが私たちの責任だ。できるだけ、大きな固まりを作っていこうと各党会派に働きかけてきた」と述べ、都道府県連幹部らに理解を求めたという。
「大きな固まりを作る」。そんな言葉を聞けば、あの悪夢としか言えない民主党政権を思い出す。固まりを作るだけというなら、それは野合でしかない。選挙目当ての数合わせだ。政策の一致がないまま、もし〝固まり〟ができ、そして政権を担うことがあったとしても、結局、現実的、統一的な政策は実行できず、にっちもさっちも行かなくなる。それが民主政権だったのだ。そして、迷惑をこうむったのが国民だ。
かつての民主党は、政策を煮詰めないままに、政権奪取だけを目的に、国民の耳障りの言いことだけを訴えた。高速道路無料化、ガソリン税の暫定税率廃止、八ッ場ダムの建設中止というのもあった。結局、政権を取ったのち、それらの公約はすべて反故にされた。挙句の果ては党内抗争が起こり、分裂する始末。最終的には国民がそんな民主党に愛想をつかし、選挙で大敗したわけだ。
単なる、政権選択肢として固まりを作ることに執着すると、そうした結果になる。その民主党政権の失敗を反省し、新たに政権の受け皿を作ろうというのならまだ理解はできるが、国民民主、自由党の合流をみると、そんな真摯な姿勢はみじんも感じられない。
自由党の小沢代表は2月5日の記者会見で「個別の政策というのももちろんあるが、安倍政権は国民のためにならずと、我々が政権を取って国民のための政治をやるという一点で、共通認識を持たなくてはならない」と述べている。
個別の政策なんかはどうでもいい。政権を取るために野党がまとまることが最優先だ。そう言っているわけだ。これこそ、まさに数合わせの思想だ。
小沢氏は会見で「いま国民の期待、要請は野党が一つになって反国民的な安倍政権を倒してくれ、政権交代を図ってくれというのが圧倒的な声だと思う」と述べているが、そもそもこの認識が大きな間違いだ。
「安倍政権を倒せ」よりも野党に期待する声が圧倒的に少ないのが現実なのだが、小沢氏はそう考えていない。真反対に、政権交代を望む声が圧倒的だと理解しているのだ。だから、恐ろしいことに、受け皿さえ作ればいいという安易な発想になる。
小沢氏は会見で「国民生活、国民の暮らしに直接的に大きな影響を持ついくつかの点についてはあらあら合意をしなくてはいけないが、政策的に細かい議論をしていくということが優先されれば、十人十色、各党十色あるわけだから、それはまとまるはずはない」とも指摘している。
「あらあら合意をすればいい」との考えは、あまりにも国民を馬鹿にした発言だ。「あらあら合意」で政権を担うことになったとしても、実際に政権運営のプロセスでは「政策的に細かい議論」をすることが必須になる。そして、そこで政府与党がまとまる保証は何もないということになる。これではまた民主党政権の繰り返しになってしまう。
(terracePRESS編集部)