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2022.05.18

日韓関係改善は韓国・尹大統領の責務

韓国の尹錫悦大統領が先ごろ就任した。尹氏は就任式で演説したが、そこでは日韓関係に関する言及はなかった。保守系政権の復活は5年ぶりで、戦後最悪と言われる日韓関係の改善に期待が高まるが、日本側から譲歩する必要はない。国際法や国家間の取り決めに反する状況を是正するなど韓国側の行動を注視することが必要だ。

 

日韓両国は、文・前大統領時代に元慰安婦、旧朝鮮半島出身労働者問題、いわゆる元徴用工問題などを中心に関係が悪化、現在も出口が見えない状況が続いている。

 

元慰安婦をめぐっては、日韓両国は慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」として2015年12月に合意。日本政府はそれに基づいて韓国政府が設立した「和解・癒やし財団」に10億円を拠出したが、それを一方的に破棄し、財団を解散させたのが文・前大統領だ。

 

また、旧朝鮮半島出身労働者、いわゆる元徴用工の損害賠償請求訴訟は、日韓請求権協定で取り決めた両国間の請求権に関する規定を完全に否定するもので違法なもの。同協定では、両国の請求権に関する問題が「完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する」と規定しているが、元徴用工訴訟は、この規定に反して日本企業に賠償を請求したわけだ。

 

尹大統領は元検事総長で、国会議員などの政治経験はなく、大統領としての手腕は未知数だ。また、国会は野党が過半数を占めているという状況があり、日韓関係正常化に向けた隘路もある。

 

今回の就任式では日本からは林外相が特使として参加し、就任式後、尹大統領と会談し、「日韓関係全体の改善につなげていくことができるよう、閣下のリーダーシップに期待する」などと書かれた岸田首相の親書を手渡している。

 

会談では林外相が「1965年の国交正常化以来築いてきた日韓の友好協力関係の基盤に基づき日韓関係を発展させていく必要があり、そのためには旧朝鮮半島出身労働者問題を始めとする日韓間の懸案の解決が必要」などと述べた。

 

これに対し尹大統領からは「日韓関係を重視しており、関係改善に向けて共に協力していきたい」「今後、緊密に意思疎通を行っていきたい」などの発言があったという。

 

つまり、韓国側からは、日韓関係のこれ以上の悪化は放置してはならないという意思は示されたものの、具体的な打開策はなかったというのが実状だろう。

 

もちろん、尹大統領がまだ就任間もなく、野党への対応などさまざまな課題があるのは事実だ。旧朝鮮半島出身労働者訴訟は司法の問題で解決が困難な側面があるのは事実だが、慰安婦問題は韓国政府の決断で解決に向け動き出すことはできる。

 

日本政府は、まずは韓国の対応を見極め、それから今後の日韓関係のあり方を検討すべきだろう。

 

(TerracePRESS編集部)

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