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2022.06.10

日米安保「立憲=維持」「共産=廃止」 それでも選挙協力?

日本共産党がこのほど参院選の選挙公約を公表した。公約では日米安保条約の廃棄を明確に打ち出した。参院選では野党の選挙協力の行方が注目されるが、共産と協力するとみられる立憲民主党は日米安保の維持を主張している。安全保障という重要な政策で180度異なる政党同士が協力することは許されることではない。

 

共産党の公約では日米安保について「国民多数の合意で、日米安保条約を、条約第10条の手続き(アメリカ政府への通告)によって廃棄し、アメリカ軍とその軍事基地を撤退させ、本当の独立国といえる日本をつくります。対等・平等の立場にもとづく日米友好条約を結び、日米友好の新時代を開きます」と盛り込んでいる。

 

「本当の独立国」をつくるとは聞こえはいいが、アジアでも緊張が高まっている中で、米国の抑止力を自ら放棄するというのだ。

 

では、どのように日本を防衛するのか。これについて公約は「政治の役割は、戦争を起こさないための外交に知恵と力をつくすことです」などと強調し、平和外交で戦争を回避するかのような主張をしている。

 

もちろん国際的な緊張が高まった際はぎりぎりまで外交努力を続ける必要がある。しかし、そのようなことはどこの国でも〝常識〟だ。ロシアでさえ、ウクライナと外交交渉し、ウクライナ国土の一部を割譲できれば侵略を回避したかもしれない。問題は、他国から軍事的な圧力や、さらに侵攻を受けた際にどうするかだ。

 

しかし、共産党はこの点について何の対応策も示していないのだ。それもないままに日米安保を廃棄するというのだから、共産党は冷酷な国際社会に日本を丸裸で投げ込こもうと考えているのだろう。

 

では、立憲民主党はどうか。選挙公約では「弾道ミサイル等の脅威への抑止力と対処能力強化を重視し、日米同盟の役割分担を前提としつつ、専守防衛との整合性など多角的な観点から検討を行い、着実な防衛力整備を行います」としている。

日米安保を前提として、日米の役割分担や専守防衛などの観点から検討して防衛力を強化するというのだ。

 

自衛隊のあり方についても立憲が「着実な防衛力整備」としていることに対して、共産党は「自衛隊は違憲」と解釈しており「憲法9条の完全実施(自衛隊の解消)に向かって、国民多数の合意で段階的に解決していきます」と将来的な解消を目指している。

 

このように参院選の選挙公約で、立憲民主党と共産党の安全保障政策はまったく異なっている。仮に共産党の候補を立憲民主党が推薦するとすれば、立憲は日米安保廃棄を唱える政党の候補者を支援することとなり、立憲の候補を共産党が支援すれば、共産党は日米安保の維持、防衛力の一層の整備を主張する政党の候補者を支援することになる。

 

参院選では、そんな非論理的な選挙協力が行われる可能性がある。こうした選挙協力が行われるとしたら、それは有権者をだますことにほかならない。

 

(terracePRESS編集部)

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