やはり〝立憲共産党〟だった内閣不信任案
今国会では先ごろ、立憲民主党が内閣不信任決議案を提出、自民、公明の与党や維新の会、国民民主党などが反対してあっさり否決となった。不信任案に対しては共産党が賛成し、ますます立憲民主党と共産党が「立憲共産党」であることを印象付けた。立憲は、参院選を前にしての〝景気づけ〟のつもりで提出したのだろうが、国政の場を〝選挙運動〟に利用するなど、立憲の政党としての責任すら問われそうだ。
立憲民主党が提出したのは内閣不信任決議案に加え、衆院議長に対する不信任決議案。立憲の泉代表の戦略は野党第1党として国会最終盤の最大の見せ場を演出することだったのだろう。この戦略自体が、野党第1党が政府を追い詰め、緊迫した国会を演出する〝55年体制〟的だ。
泉代表は、立憲を政策提案型政党に作り替えるはずだったにも関わらず、選挙を目前にして結局、先祖返りしたのだ。
そんな演出を考える泉代表の思考の古さの問題は措くとして、重要な問題は別にある。
それは泉代表の見通しの甘さだ。泉代表は国民民主党など他の野党も足並みを揃え、野党として政府に対峙する構図を描いたはずだ。
しかし、国民民主党は2022年度予算の政府案に賛成したのだ。その国民民主党が不信任案を立憲と共同で提出し、賛成すると考えてたとしたら、あまりにも物事を見通す能力がないということにほかならない。
結局、残った共産党と共同で提出するとなると「立憲共産党」とのレッテルが貼られる可能性があるということで単独での提出としたのだろうが、終わってみればやはり「立憲共産党」だったのだ。
泉代表は9日の衆院本会議での内閣不信任決議案の趣旨弁明で現在の物価が上がっている状況を「岸田インフレ」などと批判したが、それも各新聞社の世論調査で支持率が数パーセントしかない政党の代表らしく、まったく迫力に欠けたものでしかなかった。
さらに立憲の後藤祐一衆院議員は、不信任決議案に対する賛成討論で、岸田首相が通常国会の答弁で「しっかり」という言葉を少なくとも1805回使ったとする集計を明らかにし、「しっかりしてくださいよ、総理。具体策がないことがばれてますよ」などと揶揄している。
こんな程度の低いことを主張するのにはあきれるが、「しっかり」する必要があるのは立憲民主党だろう。政策立案型だと言っていたはずなのに、結局は批判、追求型への回帰。国民からの支持率も上昇する気配すらないのだ。
やはり、最後にたどり着くのが「立憲共産党」ということだろう。共産党しか連携できる政党がないのだ。
不信任決議案の否決後、自民党の茂木幹事長は「立民と共産は党利党略を優先する政党ということが明らかになった」と批判。維新の馬場共同代表も「立民はもう、全く野党をまとめる力がない。求心力ゼロ」と指摘している。
(terracePRESS編集部)