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司令塔の発足で加速する「経済安保」

政府は8月1日、経済安全保障の強化に向け、内閣府に「経済安全保障推進室」(仮称)を発足させる方針だ。中国が軍事力とともに科学技術力も著しく増強しており、緊急時の重要物資の調達など、防衛力を含めた安全保障の確保が必要とされる。〝司令塔〟の役割を果たす推進室の設置で、経済安保を促進する方針だ。

 

ロシアによるウクライナ侵略で原油や天然ガスなどのエネルギーや農産物などの資源価格が高騰したことは、重要資源の確保が国民生活の安定に不可欠であることを改めて認識させた。

 

また、アジアでは中国が覇権主義的な活動を活発化させ、軍事的な緊張が高まることが懸念されている。さらに、経済成長に伴い、科学技術力の伸長も著しいことはいうまでもない。

このため、防衛力と経済力を一体的に捉えて両立させることが日本の安定的な国民生活を維持、拡大するには不可欠となっており、こうした視点で政府は、5月に経済安全保障推進法を成立させている。

 

政府は、推進法を基に経済安保を一体的に進めるための基本方針と指針を9月下旬にも決定し、具体的な先端技術の開発支援などを実施していく考えだ。

 

推進法では、国の安全保障に関わる「特定重要技術」について、官民一体での研究開発に向け、資金面などで支援する仕組みを盛り込んでおり、これまで対象となる分野については明確になっていなかったが、基本方針では20の分野を示している。

 

その20の分野とは「バイオ技術」「医療・公衆衛生技術(ゲノム学含む)」「人工知能・機械学習技術」「先端コンピューティング技術」「マイクロプロセッサ・半導体技術」「データ科学・分析・蓄積・運用技術」「先端エンジニアリング・製造技術」「ロボット工学」「量子情報科学」「先端監視・測位・センサー技術」「脳コンピュータ・インターフェース技術」「先端エネルギー・蓄エネルギー技術」「高度情報通信・ネットワーク技術」「サイバーセキュリティ技術」「宇宙関連技術」「海洋関連技術」「輸送技術」「極超音速」「化学・生物・放射性物質及び核(CBRN)」「先端材料科学」で、今後、支援の対象を絞り込む方針という。

 

支援のあり方について政府は「過度に市場や競争任せにせず、政府が支援と規制の両面で一層の関与を行っていくことが必要」などとしており、資金提供などを含めて政府のイニシアチブで技術開発を進める考えだ。

 

8月に発足する推進室は、現在50人規模の「経済安全保障法制準備室」を改称してスタートさせる方針で、人員もさらに増強するという。

 

「経済安全保障法制に関する有識者会議」が2月にまとめた提言では「AI や量子など安全保障にも影響し得る技術革新が進展する中、科学技術・イノベーションは激化する国家間の覇権争いの中核になっている。こうした状況の下、諸外国では、産業基盤強化の支援、先端的な重要技術の研究開発、機微技術の流出防止や輸出管理強化等の施策を推進・強化している」と指摘している。

 

日本でも一刻でも早く重要技術の研究開発などに着手することが、次世代に豊かな国を引き継ぐことになる。それは現世代が果たすべき責務とも言える。

 

(terracePRESS編集部)

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