お遊びは許されない立憲民主の「次の内閣」
立憲民主党は先ごろ、泉代表を含む13人を〝閣僚〟として任命した「次の内閣」を発足させた。立憲民主党が政権を担える政党であることを有権者に示すことが狙いらしいが、この「次の内閣」がどんな国をつくるのか、各大臣がどのような政策を行うのか示すべきだろう。それを欠いては単なるお遊びに過ぎなくなる。
「次の内閣」は13日に開いた両院議員総会で規約を改正して設置を決めた。ネクスト総理大臣が泉代表、ネクスト内閣官房長官に長妻昭政調会長、ネクスト外務・安全保障相に玄葉光一郎氏、ネクスト財務金融相(予算・決算)に階猛氏、ネクスト経済産業相に田嶋要氏、ネクスト農林水産相に金子恵美氏らが就任。女性を5人起用した。
では、この「次の内閣」はどのような国を目指すのか。〝内閣〟である限り、目指すべき国家像を持っているとは思うが、どうもそれが明確ではない。
泉代表(ネクスト総理大臣)は両院議員総会で「誰もが活躍できる、わが国を目指していく。そのために、みんなで一丸となって頑張りたい」とあいさつしたが、具体性はまったくない。
また、同日には第1回目となる〝閣議〟を開しているが、ここでも泉ネクスト総理大臣は「わが党は政権を目指す政党であるということ、われわれが政権を担ったときに実現できる政策を作るという意味で、この『次の内閣』は重要な役割を担っている。さまざまな課題がある中で、仲間の力を結集して、われわれの答えを国民の皆さんに発信していく」と述べた。
〝閣議〟終了後に今後の取組み政策について記者から問われると ①円安対策とアベノミクスからの脱却 ②大胆な子ども・子育て支援策 ③環境・エネルギー政策 ④着実な安全保障—などに取り組む考えを示しただけだ。
ネクストではない本当の内閣が発足すれば、首相は記者会見し、目指すべき社会像、国家像を語り、記者の質問にも答える。また各大臣も会見し、所管する政策について所信を表明する。
現在、日本はさまざまな課題に直面している。少子高齢化、経済再生、円安・物価高、新型コロナ、緊張が高まるアジア情勢などの国際関係、安全保障のあり方など、足元には待ったなしの難題が山積しているのだ。
こうした一つ一つの課題に「次の内閣」がどう対応するのか、ネクスト総理大臣やネクスト各大臣が所信を表明することすらできないのだ。
実は、そうした取り組みができないのにも理由がある。ネクスト官房長官の長妻昭政務調査会長は「次の内閣」の位置づけについて「重要案件をA法案とし、これは『次の内閣』で審議する。議論の余地の少ない法案はB法案とし、政調役員会で審議し、『次の内閣』には報告のみ行う。『次の内閣』は、重要な問題や中長期的な問題を集中的に議論していく場にしたい」と述べている。
つまり「次の内閣」とは言いながらも、実態は党内の政策決定のための議論の場でしかないのだ。単なる政策決定のための組織変更というわけだ。「次の内閣」などと銘打ち、国家像、社会像すら示せないのは、お遊びというほかはない。
(terracePRESS編集部)