投機的動きに断固とした姿勢示した為替介入
政府・日本銀行は22日、急激な円安を食い止めるため、円買い・ドル売りの為替介入を実施した。介入は米国も容認したとされる。円買い・ドル売り介入は24年3カ月ぶりで、投機的な動きによる急激な変動から円を守るという強い決意のあらわれといえる。日米の金利差は広がっているが、日本の場合は経済の再生が不可欠で、大規模な金融緩和を継続する必要がある。
米国連邦準備制度理事会(FRB)は先ごろ、政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利の現状の誘導目標2.25~2.5%から0.75ポイント引き上げ、3.0~3.25%とすることを決めた。
一方、日銀は、米国の金利引き上げ決定後の22日の金融政策決定会合で、大規模金融緩和の継続を決めている。会合後に記者会見した黒田総裁は、現時点では金融緩和を継続して経済を下支えし、賃金の上昇を伴う形で物価目標を安定的に実現することが必要だとしたうえで、「当面、金利を引き上げることはない」という考えを強調した。
黒田総裁はさらに「2%の物価安定の目標の実現を目指し、必要な時点まで金融緩和を継続する。必要があれば躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる」とも述べている。
メディアなどは日本が利上げをしないから円安が進み、それにより物価高も進み、国民生活を直撃しているなどと伝えている。
確かに、日米金利差が円安を進めていることは間違いないのだが、現在の局面は円の独歩安ではない。ドルが高くなっているというのが実態だ。決して日本政府や日銀の悪手によって日本の円だけが安くなってしまっている状況ではない。
それはそれとして、政府・日銀は、大規模緩和を継続するという日銀金融政策決定会合を受けて、1998年以来の円安修正のための為替介入を実施したわけだ。
外国為替市場では1ドル=145円台後半だった円相場が介入後、一時、140円台まで円高が進んだ。
鈴木財務相は22日夜に記者会見し、「足元の為替市場では、急速で一方的な動きが見られる。投機による過度な変動が繰り返されることは、決して見過ごすことができない」と介入した理由を説明。
米国にいた岸田首相は「(為替が)1年で30円以上円安に動いたのは過去30年ない状況だ。また、足元では1日のうち2円以上も、円安が進行したこともあった。為替相場は市場で決定されるのが原則だが、投機による過度な変動が繰り返されることは、決して見逃すことができない。このような考え方から本日、為替介入を実施した」と説明した。
今回の政府・日銀の為替介入は、大規模緩和を継続しながら、一方で投機的動きから円を守るという強い決意を示したものだ。過度な為替変動を許さないという政府の姿勢は、国民生活を安定させるという決意でもある。
(terracePRESS編集部)