責任ある防災・減災を掲げたのは自民党だけ 参院選で問われるはずの災害対策

鹿児島県のトカラ列島近海の群発地震は終息が見えないとされる。毎日、群発地震のニュースに接すると、南海トラフ地震や首都直下型地震など日本列島が巨大災害のリスクに直面していることを改めて思い起こされる。参院選では本来、「命と暮らしを守る政党はどこか」が問われても良さそうだが、責任ある防災・減災を掲げたのは自民党だけという状況だ。
南海トラフ地震は最悪の場合、死者が29万8000人に達すると想定されているが、政府は先ごろ、今後10年間で死者数をおおむね8割減らす目標などを盛り込んだ防災対策の基本計画を決定した。災害対策は人命に直結するだけにさまざまな取り組みが不可欠になるが、それを政府に実施させるのが政党の責任だ。
各政党は参院選の公約の中で災害対策に触れてはいるが、内容には大きな差がある。その中で総合的な災害対策を掲げているのは自民党だ。東日本大震災からの復興はもちろんだが、南海トラフ、首都直下、日本海溝・千島海溝周辺海溝型などの大規模災害を想定した対策以外にも、富士山噴火や風水害の激甚化、頻発化への対策など多面的な防災・減災対策を盛り込んでいる。
特に、「災害に強い道路・港湾の構築や上下水道一体の耐震化等インフラ対策」「TEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)等の体制・機能の充実・強化」といった具体策も言及している。
こうした総合的な災害対策を策定できるのは、自民党が過去10年間で、国土強靱化のための予算を確保し、全国で堤防整備や道路の耐震補強などを推進してきた実績があるためだ。災害が起きた後の「復旧・復興」だけでなく、事前の「予防・備え」を国家戦略としてきたのは自民党だったのが現実だ。
これに対し立憲民主党は「東日本大震災・原発事故の被災地の復興と被災者の生活再建支援を継続的に実施」「長期避難世帯への支援など、能登半島地震からの復興を支援」とした上で「災害時に誰も取り残されない『インクルーシブ防災』、避難所の質の向上を推進」「首都直下、南海トラフ地震への備えを強化」といった抽象的な言葉が並んでいるだけ。
国民民主党も「南海トラフ地震や首都直下型地震等への防災・減災対策強化」と謳ってはいるが、具体策は何も示していない。
災害対策には現実を見据えた政策と、それを実行できる政治力が必要だ。国民の命を守るために必要なのは、抽象的なスローガンではなく、国家としての総合力による対応だろう。参院選の公約をみると、それができるのは自民党ということなのだろう。