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さすが「朝日」の〝はちゃめちゃ〟憲法観

5月3日の憲法記念日。朝日新聞の朝刊に掲載された社説「AI時代の憲法 いま論ずべきは何なのか」には驚かされた。「さすが朝日!」と声を掛けたくなるような内容だ。

 

社説は「AI(人工知能)が日本国憲法の前に立ちはだかる―。」との一文を冒頭に掲げ、AIが浸透した社会ではさまざまな懸念される事態が起こるとしている。憲法学が専門の学者の「AIによる人間の仕分けが、差別や深刻な排除を生む可能性があります」とのコメントを紹介し、例えば「企業の採用や人事、金融機関の融資の審査といった場面で、さまざまな個人情報に基づいてAIが人間に点数をつける。いったんAIからだめ出しをされると、その理由の説明もないまま、否定的な評価が知らぬ間に社会で共有され、ずっとついて回る」との未来像を描く。

 

そして、これは「『個人の尊重』(13条)や『法の下の平等』」(14条)という日本国憲法の基本的な原理に関わる問題だ」と指摘している。

 

確かに、そうした社会が到来する恐れがあるのかもしれないが、驚かされるのが、朝日は続けてその学者のコメントを使いながら「経済合理性や効率性の追求に目を奪われるのではなく、『憲法と調和的なAI社会』の実現が必要だ」と指摘しているのだ。

 

「AI社会と調和的な憲法」ではなく「憲法と調和的なAI社会」を実現するべきだと言うわけだ。AIのような新しい技術が世界的に普及することが不可避となっている中で、憲法を新しい時代に合わせるのではなく、社会を憲法に合わせるべきと言っているのだ。

まさに、護憲一辺倒。何が何でも憲法を変えてはいけないという本音が垣間見えてくるではないか。

 

もちろん、そこはメディアだから「時代の変化に応じて、憲法が定める普遍的な原理をどのように守っていくのか。徹底した議論の先に、あるいは憲法の条文を見直した方がよいという結論に至る可能性もあろう」との指摘もある。

ここで朝日が指摘している「普遍的な原理」は「民主主義」と「立憲主義」なのだろうが、この点について修正すべきと考えている国民は一人もいないだろう。

政党もそうだ。社会主義を目指す共産党を除けば、立憲主義や民主主義を変えようと思っている政党はない。

だから、現在の改憲論議は「普遍的な原理を守る、守らない」の話ではないのだが、さすが朝日だけに、あたかも普遍的原理を修正しようという動きがあるかのような書きぶりだ。

 

さらに社説は「今の安倍政権の憲法論議は、そうした真摯なアプローチとは全く逆の姿に見える」と強調しているのだが、現在の憲法論議が各政党内の議論や衆参両院の憲法審査会で行われていることなどは知らんふりし、ここでも、あたかも安倍政権が手続きを進めていると言わんばかりだ。

 

この社説は最後の締めがまた出色で「豊かな憲法論議は、主権者である国民が主導するものであるべきだ」と言うのだ。具体性に乏しく抽象的な美辞麗句で、現在の改憲論議を批判したつもりだろうが、国民は「いったいどうやればいいのか」と途方に暮れるだけだろう。さすが朝日の社説だ。

 

(terracePRESS編集部)

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