共産候補に投票するという枝野氏の驚くべき分別
立憲民主党の枝野代表が参院選で、日本共産党の公認候補の応援で、共産党の小池書記局長と並び、「民主主義、立憲主義、国民生活を守るたたかいを広げ、安倍一強を終わらせよう」と訴えたという。
枝野氏は「立憲主義という当たり前の大前提が壊されている。憲法というルールの下でわれわれは政策を競い合う。その大前提を守るために、連携・協力するのは当たり前のことだ」などと語った。
枝野代表は、参院選公示前の党首討論会などで安倍首相から「福井県に住んでいたら、共産党の候補者に投票するのか」との質問を受け、「当然、野党統一候補に決まっている」と回答している。
野党統一候補だから、もし自分が福井の有権者だったら、その共闘相手に票を投じるのは当然ということなのだろう。
しかし、選挙が終わり、仮にその候補者が当選すれば、共産党公認として共産党の議員として活動するのだ。つまり、今回の参院選の投開票までの候補者なのだ。
共産党は綱領で、「現行憲法の前文をふくむ全条項をまもり、とくに平和的民主的諸条項の完全実施をめざす」「国会を名実ともに最高機関とする議会制民主主義の体制、反対党を含む複数政党制、選挙で多数を得た政党または政党連合が政権を担当する政権交代制は、当然堅持する」とし、現行憲法を維持することをにじませている。
しかし、それと同時に天皇制について「党は、一人の個人が世襲で『国民統合』の象徴となるという現制度は、民主主義および人間の平等の原則と両立するものではなく、国民主権の原則の首尾一貫した展開のためには、民主共和制の政治体制の実現をはかるべきだとの立場に立つ」とし、将来的に天皇制を廃止する可能性を明示している。
それだけではない。共産党が政権を担った際に目指すこととして「社会主義的変革の中心は、主要な生産手段の所有・管理・運営を社会の手に移す生産手段の社会化である」「生産手段の社会化は、人間による人間の搾取を廃止し、すべての人間の生活を向上させ、社会から貧困をなくすとともに、労働時間の抜本的な短縮を可能にし、社会のすべての構成員の人間的発達を保障する土台をつくりだす」としている。
「社会化」といえば聞こえがいいが、そこには強制力が働くはずだ。結局、共産党がどのように否定しようとも、その強制力が行使される段階では、国民の権利や自由は抑圧されるのだ。
野党共闘は、そうした社会をつくることに手を貸すことでもある。枝野氏は立憲民主党の代表としてそこまで思考を巡らせているのだろうか。はたまた、選挙だけ勝てばいいと考えているのだろうか。
(terracePRESS編集部)