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蚊帳の外ではない安倍外交

北大西洋条約機構(NATO)加盟の29カ国は7月11日、「朝鮮半島の検証可能かつ不可逆的な非核化」に向けた目標に全面的な支持を表明し、「北朝鮮に対し断固とした圧力を維持することをすべての国に要請する。国連の制裁の完全な履行が含まれる」とする共同宣言をまとめた。

 

北朝鮮問題をめぐっては、南北首脳会談、米朝首脳会談のほか中朝首脳会談が行われたことに対して、日本の〝蚊帳の外〟論や、経済制裁の継続を唱える安倍首相の外交的敗北を指摘するような論調がみられるが、このNATOの共同宣言一つ見ても、日本政府の外交が間違っていないことを示している。

 

この共同宣言にもあるが、改めて認識する必要があるのは、北朝鮮の経済制裁は国連決議に基づいたものだということだ。

 

昨年12月23日に採択された国連安保理決議では、石油分野でのさらなる供給規制や報告義務の新設による手続の厳格化だけでなく、北朝鮮の輸出による外貨収入を事実上枯渇させるための措置や,北朝鮮籍海外労働者の24カ月以内の送還、海上輸送に係る一層厳格な措置などを含む極めて強力なものとなっている。

 

北朝鮮のすべての核兵器と既存の核計画について「完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な方法で直ちに放棄し、全ての関連する活動を直ちに停止するとともに、その他のいかなる既存の大量破壊兵器及び弾道ミサイル計画も、完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な方法で放棄するとの決定を再確認する」としている。

 

この安保理決議を主導したのは日本や米国などで、この決議があったからこそ南北、米朝首脳会談が行われたのは間違いなく、その文脈の中では、もし現在、米朝関係が改善の方向に向かっているのであれば、それは日本外交の大きな勝利であるはずだ。

 

「日本の外交の基本は国連中心主義」というと言い過ぎになるが、それでも国連での外交は日本外交において大きな比重を占めていることは間違いない。そうした中で「制裁の継続」を強調する安倍路線を批判することは、この国連を中心とした動きを批判することにもなるのだ。

 

ちなみに、安保理決議では「(中国、北朝鮮、日本、韓国、ロシア、米国の)六者会合への支持を再確認し、その再開を要請する」ともしている。六者会合が再開されるか否かは現段階では不明だが、南北、米朝、中朝首脳会談が相次いで行われている中で、国連安保理の制裁決議の継続と、その一方で日朝首脳会談の可能性を探る安倍外交は、決して蚊帳の外ではない。もちろん、南北、米朝が首脳会談を開き融和的な外交を展開している中で、日本の制裁継続の主張は、突出したものでもない。日本外交のしたたかささえ垣間見えるのではないだろうか。

 

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