信頼関係損なう国を信頼できるか

安倍首相が先ごろ、国連総会への出席を受けた内外記者会見で、旧朝鮮半島出身労働者問題などについて「韓国に対しては、まずは、国と国との約束を守るように求めていきたい」などと述べ、改めて韓国に適切な対応を求めた。

 

首相はまず、現在も解決の糸口さえ見えない旧朝鮮半島出身労働者と輸出管理問題について「はっきりと申し上げておきたいのは、輸出管理の問題と朝鮮半島出身労働者の問題とは、全く別の問題であるということ」と強調。

その上で、軍事転用の恐れのある品目や技術について実効的な輸出管理を行うことは、世界貿易機関(WTO)協定を含む自由貿易の枠組とも整合的であることを指摘している。

また、旧朝鮮半島出身労働者問題で、日韓請求権協定の違反状態を韓国側が放置していることを強調し「(韓国側による)国と国との信頼関係を損なう行為が続いている」と明確に語っている。

その一方で、この問題が「安全保障の分野に影響を及ぼしてはならない」と懸念を示した。

 

しかし、こうした首相の懸念は、韓国の一方的な行動などにより現実のものとなり、すでに安全保障分野に影を落としている。

事実、防衛省が先ごろ公表した2019年版防衛白書でも、韓国との防衛協力について「韓国側の否定的な対応などが、日韓の防衛協力・交流に影響を及ぼしている」と指摘している。

 

白書はその例として、2018年10月の韓国主催国際観艦式で、韓国側が海上自衛隊の自衛艦旗を掲げることが認められなかったことや、同年12月に韓国海軍駆逐艦による自衛隊機への火器管制レーダー照射事案の発生、また、今年8月には韓国政府が日韓秘密軍事情報保護協定(GSOMIA)を終了させる決定をしたことなどを列挙している。旧朝鮮半島出身労働者問題だけでなく、こうした安全保障上の懸念があれば、両国間の防衛協力がぜい弱化するのも当然だ。

 

防衛白書には「各国との防衛協力・交流の推進」の項目があるが、19年版の韓国はオーストラリア、インドとスリランカ、ASEAN各国に次いで4番目となっている。実は、18年版ではオーストラリアについで2番目に言及していたのだが、それが大幅に後回しになった格好だ。

これはまさに日本の防衛当局が防衛協力に関して韓国を重要視しなくなっている表れなのだろう。

個人間でも信頼できない行動をとる相手と協力したいとは思わないのは当然だ。それは国家間でも同じなのだ。何度でも相手の誤りを指摘し、是正させるしか道はない。

 

(TerracePRESS編集部)