社会改革の青写真描くのが安倍首相の務めに
「ピンチをチャンスに変える」という言葉がある。「苦境や逆境と呼べるような追い詰められた状況を絶好の機会と考えて乗り越えることにより、より以前より成長させる」という意味だ。
新型コロナウイルス感染症という日本のピンチの中で、チャンスに変えることができたと言えばテレワークだろう。
テレワークは情報通信技術の発展で場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことで、「ワークライフバランスの実現」や「災害時の事業継続の確保」「環境負荷の軽減」「オフィイスコストの削減」などさまざまなメリットがあると言われており、導入は新しい時代に不可欠と言われていた。
しかしこれまで、そのような働き方があることは知られていただろうが、まだまだ普及というにはほど遠い状況だった。
それが新型コロナを契機に急速に拡大したのだから、「ピンチがチャンスに」というべきことだろう。
東京商工会議所が先ごろ「テレワークの実施状況に関する緊急アンケート」の調査結果を公表している。調査は5月末から6月初めにかけて同会議所の会員企業12,555社を対象に実施したもので、テレワークの実施率は67.3%となり、3月調査時に比べて41.3ポイントの増加となった。
テレワークを実施している企業のうち、52.7%は緊急事態宣言発令以降から実施しており、従業員規模別では従業員30人未満の実施率は45.0%、300人以上では90.0%と従業員規模が大きくなるに従い、実施率は高い結果となったという。
安倍首相も先ごろの記者会見で「私たちは、すぐにでも感染症に強い国づくりに着手しなければならない。今般、テレワークが一気に普及した。様々な打合せも、今や対面ではなくウェブ会議が基本となっている。物理的な距離はもはや制約にならず、どこにオフィスがあっても、どこに住んでいてもいい。こうした新たな潮流を決して逆戻りさせることなく、加速していく必要がある」と述べているが、まさにテレワークの拡大が新しい経済社会構築の第一歩となるのだ。
もちろんテレワークは掛け声だけでは拡大しないため、対面や書面、押印など社会で必要とされている慣習を見直す必要があるし、兼業・副業の推進や時間管理の弾力化、テレワーク時代に合わせた社会保障制度の構築などの検討が求められるだろう。
政府は現在、骨太の方針の策定に取り組んでいるが、テレワークの拡大など新型コロナ後の新しい経済社会の青写真を描くことがまさに安倍首相の責務となっている。
(terracePRESS編集部)