核・ミサイル開発阻止に口つぐむ立憲民主党
国連の北朝鮮制裁委員会・専門家パネルが先ごろ、北朝鮮が核兵器の小型化など核・ミサイル開発を依然として進めているほか、国連の制裁を逃れ、石炭や石油の密貿易を進めているなどとする報告書をまとめた。北朝鮮の核・ミサイル開発は日本国民の安全を確保する上で見過ごせない問題だが、最大野党の立憲民主党は、日本の安全保障の具体策についていまだ口をつぐんだままだ。
報道によると、報告書では、北朝鮮が弾道ミサイルに搭載できる小型核兵器の開発を実現した可能性があると、複数の国連加盟国が分析していることを明らかにしている。
北朝鮮の核・ミサイル開発はアジアの安全保障はもちろん、日本国民にとって重大な脅威となるものだ。
今年の防衛白書でも「北朝鮮は、極めて速いスピードで弾道ミサイル開発を継続的に進めてきており、わが国を射程に収めるノドンやスカッドERといった弾道ミサイルに核兵器を搭載してわが国を攻撃する能力を既に保有しているとみられる」と指摘している。
新しい政党になった立憲民主党は、枝野代表が「政権の選択肢になる」と強調しているが、日本の脅威となるこうした北朝鮮の核・ミサイル開発にどのように対応しようとしているのか、今もって不明だ。
近年行われた国政選挙では、安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合、いわゆる「市民連合」が結節点となって野党共闘を実現している。
その市民連合が最近各野党に提出した要望書では、対北朝鮮外交について「日朝平壌宣言に基づき北朝鮮との国交正常化、拉致問題解決、核・ミサイル開発阻止に向けた多国間対話を再開する」としている。
これは市民連合が各野党に求めているもので、次期衆院選での野党共闘を実現するためには、立憲民主党はこれを容認することは間違いない。
しかし、これまでも北朝鮮、米国、中国による三者協議や、それに日本、ロシア、韓国を加えた六者協議が行われたが、核開発を阻止できなかった経緯があり、現在の国連制裁に至るプロセスを経ていることを忘れてはならない。
立憲民主党の枝野代表は、菅首相が「自助、共助、公助」と述べたことを「順序が違う。公助が先だ」というようなトンチンカンな批判をしたり、消費税減税をちらつかせたり、有権者の人気取りばかり目立っているが、現実に国民の安全を脅かすはずの対北朝鮮外交などについては、一向に考えを明らかにしない。
そして、明らかにされないまま、市民連合の要望書にある「対話復活」を自党の政策にしていくのだろう。
国際社会が制裁による核開発阻止で一致しているのにも関わらず、「平和」「平和」と唱えれば平和が実現するという空想的平和主義で、国民の支持を得ようとしているのだ。
もちろん、日本は拉致被害者の救出が不可欠だ。だからこそ、国際社会と足並みを揃えながらも、その一方で対話による拉致問題解決も果たさなければならない。その高度な外交を立憲民主党ができるとは思えない。
(terracePRESS編集部)