経済活性化も言及できない立憲「zero コロナ」
立憲民主党が先ごろ、新型コロナウイルス感染症対策としての「zero コロナ」戦略をまとめ、公表した。感染防止を徹底して収束させ、早期に経済活動を活性化させるというのが戦略の眼目らしいが、肝心の経済活性化策は触れずじまい。立憲は「政権を取る」などと訴えているが、立憲に政権を任せたら民主党政権の二の舞になることは間違いなさそうだ。
立憲の枝野代表は「zero コロナ」戦略を正式発表した26日の記者会見で、台湾、オーストラリア、ニュージーランドといった周辺の島国の事例を取り上げながら「やはりzeroコロナ戦略こそが経済にも結果的にはプラスであることは、各国の例で証明されている」と述べている。
日本は人口1億2千万人超、経済規模は世界第3位だが、オーストラリア、台湾は2千万人台、ニュージーランドは約500万人。それを〝島国〟という共通項だけで比較するとは、あまりにも杜撰で、これで「各国の例で証明されている」とは稚拙というほかはない。
その上で「zero コロナ」戦略をみると、冒頭「政府が進めてきた『with コロナ(社会経済と感染対策の両立)』」では、これまでの間、感染抑制と感染拡大の波が何度となく繰り返され、社会経済活動の制約が長期にわたり、国民生活や経済に深刻な影響を与えている」と指摘している。
たぶん「Go To トラベル」により感染拡大が起こったとの前提なのだろうが、ロックダウンまで実施した欧米でも秋口から冬にかけて感染が再拡大したのだ。「Go To トラベル」が秋口からの感染拡大にどの程度寄与したのかは検証を待つべきだし、そもそも「社会経済と感染対策の両立」での「経済」が「Go To トラベル」だけと考えているのなら、あまりにも無知だろう。
さて、「zero コロナ」戦略は「医療現場を支援」「感染を封じ込める」「暮らしと事業を守る」の3つを柱としている。それぞれ、政府がすでに行った施策の延長や拡大なども含めさまざまな施策を盛り込んでいる。しかし、重要なのは、その具体策が示されていないことだ。
例えば、事業者支援では「休業協力金、一時支援金の要件緩和、事業規模に応じた支援の実施」などとしているが、「事業規模に応じた支援」とは売り上げに比して支援金を決めるのかどうかも不明だ。ましてや、全体で必要な予算規模も示していないのだ。
さらに、決定的なのは、「zero コロナ」戦略が今後の経済の方向を示していないことだ。いくら感染対策を優先し、徹底して行うと胸を張っても、重要な収束後の経済の活性化策は示していない。これが立憲民主党の限界なのだろう。
政府は、2020年度第3次補正予算で、直接的な感染拡大防止策以外にも、グリーン社会などポストコロナに向けた経済構造改革や、中小・中堅企業向け支援、防災や減災などの推進などさまざまな予算を計上している。構造改革をしたり、災害対策などで資金を循環させたりして経済活性化を、感染防止策と並行して行うことが「with コロナ」だ。立憲民主党はそれすら理解できないからこそ、経済活性化策すらない「戦略」を作るしかなかったのだろう。
(terracePRESS編集部)