普天間の危険除去を考える政府と交われない玉城知事
米軍普天間飛行場の返還に伴う名護市辺野古への代替施設の建設を巡り、沖縄県と安倍政権との集中協議は双方の主張が平行線のまま終わった。
県側は11月29日、埋め立て承認撤回の効力を復活させるため国地方係争処理委員会に審査を申し出たほか、代替施設建設の是非を問う県民投票の告示日を2019年2月14日、投票日を2月24日に決めた。
沖縄県側と安倍政権の協議が平行線のまま終わったことは予想通りのことだ。県と安倍政権の根本的な考えが異なるため、両者が交わることは極めて困難なのだ。
安倍政権が辺野古の代替施設の建設を進めるのは、世界でも最も危険と言われる米軍普天間飛行場の返還を現実のものとするためだ。これは安倍政権だけの考えではない。米国政府も、辺野古が唯一の解決策であることを繰り返し確認している。
しかし、玉城知事の沖縄県は、こうした視点ではない。普天間飛行場の返還の必要性は謳っているものの、主張の主眼は、辺野古に代替施設の建設を認めない、というものだ。
そもそも、沖縄県側は、辺野古に建設する施設を「代替施設」であることさえ認めていない。今回の投票条例の名称も「辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票条例」だ。玉城知事や沖縄県側にとっては、辺野古の代替施設は「辺野古米軍基地」なのだ。
さらに、国地方係争処理委員会への申し立ての際の玉城知事のコメントでは、「国土交通大臣は、内閣の一員として辺野古新基地建設を推進する立場にある者であり…」「辺野古新基地建設問題は、司法ではなく対話によって解決策を求めていく…」「辺野古に新基地はつくらせない…」などと「新基地」のオンパレードだ。
辺野古の代替施設は米軍キャンプシュワブ内の陸上部と沖合に建設されるもので、決して「新基地」ではない。
知事選の際に地元のメディアが、「ファクトチェック フェイク監視」などと称して、知事選で飛び交う情報の真偽を確認する取り組みを行ったが、知事の新基地などという表現は、まさにフェイクでしかない。
玉城知事は、県民投票の実施日の公表時に「県としましては、投開票等の事務を担う市町村と緊密な連携を図りながら、その実施に万全を期すとともに、賛否を判断するために必要な広報活動・情報の提供をわかりやすく、適切に行い、投票への参加を呼びかけてまいります」とコメントをしているが、「新基地」などというフェイク情報が公費を使って発信されるのだろう。
いずれにしても、玉城知事は、知事選の公約で掲げたように、あくまでも辺野古での代替施設建設を阻止するのが目的で、普天間基地周辺の住民の安全性の確保は、二の次、三の次にしているとしか思えない。