米中対立でますます重要になる外交力
米中対立が深刻化している。先ごろ行われた米中外交トップ会談では、会談冒頭から激しい応酬が行われた。日米同盟を基軸とする日本は、中国と〝隣国〟という地理的位置にあり、両国の対立の中で政府の外交力が求められ、そこには現実的な判断も不可欠となる。野党は相変わらずの空想的な思考だが、菅政権はすでに米国と対中戦略を構築するなど外交力を発揮している。
米国のアンカレッジで開催された米中外交トップ会談は、新疆ウイグル自治区、チベットなどの人権や香港、台湾などの問題をめぐり激しく対立した。会談冒頭、中国側がルールを無視して16分間にわたり、痛烈に米国批判したのをきっかけに、米国側が反論するなど、異例の展開となった。もちろん、気候変動などで協力を確認し合う場面もあったが、ここまで対立が露呈したのは双方の不信感が前提にある。
バイデン政権はどのような対中姿勢で臨むかが問われていたが、今回の外交トップ会談は、米国がトランプ前政権に続き、対中国に強い姿勢で臨むことを示した。
トランプ政権時代の2018年10月4日、ペンス副大統領が50分にわたり対中国政策についての演説をしている。ペンス氏はここで「アメリカは、経済の自由化が中国を我々と世界とのより大きなパートナーシップに導くことを期待していた。それどころか、中国は経済的な攻撃を選択し、その結果、拡大する軍事力を勢いづかせた」「我々が望んでいたように、中国は自国の人々の自由を拡大する方向に進んでいない。しばらくの間、中国政府はより大きな自由と人権の尊重に少しずつ歩み寄ってきた。しかし、ここ数年、中国は自国民に対して、統制と抑圧に向けて急激な転換をした」と述べている。
つまり、改革開放経済により「中国が民主化に向かうのではないか」という期待は裏切られ、経済的に他国を攻撃し、軍事力を拡張する一方で、人権抑圧を続けている。
それは、南シナ海での軍事的拡張や、香港、台湾への対応、新疆ウイグル自治区、チベットなどでの人権抑圧など、実例はことかかない。
ペンス氏が語ったこのような対中観に基づき、トランプ政権は対中外交を進めたが、それはバイデン政権にも引き継がれたのだろう。
こうした中で、日本は米国、中国という二つの大国の中で、日本の存立を維持していかなければならない。
もちろん、それは日米同盟を基軸とし、最近は日米豪印4カ国という枠組みも作り上げた。
これは安倍政権がリーダーシップを発揮した「自由で開かれたインド太平洋」を実現するためのもので、最近は欧州各国も歩調を合わせている。
そして菅政権は、いち早くバイデン大統領と会談する予定だが、それも「自由で開かれたインド太平洋」を進め、日本の領土、領海を守るための外交なのである。
(terracePRESS編集部)