これで分かった立憲民主党が政権政党になれない理由
立憲民主党が、次期衆院選で政権を取ると豪語している。しかし、政策を策定する能力が乏しいことはもちろん、仮に政権を担った場合、共産党が限定的にせよ閣外協力し、共産党の影響力が政権に及ぶ事態となる。だが、政権を取れない理由はそれだけではない。立憲民主党が政権を取った場合に〝首相〟となる枝野代表が政治家として浅薄なのだ。
立憲民主党は9月24日に「#政権取ってこれをやる Vol.5」として「外交・安全保障分野」の政策を発表している。しかし、これには沖縄の米軍普天間飛行場の代替施設である辺野古の飛行場建設の中止は明記してあるものの、具体的な安全保障政策は盛り込まれていないというお粗末なものだった。その辺野古の代替施設についても「新基地」と称する始末だ。
ところで枝野代表は27日の記者会見で、記者から台湾有事への備えに関して質問を受けている。この質問に対する枝野代表の回答は驚くべきものだったのだ。
枝野氏は「万が一、台湾有事になった場合には、それに対応する米軍の基地が事実上日本の領土にある以上は、集団的自衛権の行使容認をしなくても、我が国の個別的自衛権の行使の要件をほぼニアリーイコールで満たすことになると思っている。それだけに、そうしたことを起こさないための外交努力は最善を尽くしたいと思っている」と回答したのだ。
たぶん、枝野氏は個別的自衛権も集団的自衛権も、それが何なのか分かっていないのだろう。だから、こうした意味不明の回答になるのだ。
米軍基地が実際に日本に存在するから、その在日米軍基地から米軍が出動するのは容認するといっているのか、または仮に日本国内にある米軍基地が攻撃されたら、日本は個別的自衛権で反撃すると言っているのか、または、台湾有事の際に、台湾周辺で軍事行動をする米軍を、個別的自衛権を行使して支援すると言っているのか、まったく不明だ。
安保法制で新設された「存立危機事態」では、武力行使の3要件として①我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が
根底から覆される明白な危険があること②これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと③必要最小限度の実力行使にとどまるべきこととされている。
もし、台湾有事で個別的自衛権の発動により日本が武力を行使するとしたら、日本に対する武力攻撃が発生した場合以外は考えられない。それ以外のケース、例えば台湾周辺で自衛隊が米軍と共同して軍事行動を起こすことを個別的自衛権で行うというのなら、憲法の拡大解釈以外のなにものでもない。
立憲民主党は安保法制を「違憲」としているが、それを優先させるために、なんとしても個別的自衛権の行使で対応できると言いたかったのだろう。しかし、安全保障という重要な問題で、こうした姑息なことをいうこと自体からして、首相はもとより政治家としての資質に欠けるといっていいだろう。
(terracePRESS編集部)