辺野古埋め立ての偏向報道
米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設で12月14日、沿岸部への土砂の投入が始まった。毎度のことであるが、15日付けの朝日、毎日、東京の各新聞の報道は「これでもか」というほどの偏向ぶりだった。
ちなみに3紙は1面トップで報じているが、その見出しをみると、朝日は「辺野古 土砂投入を強行」「政府の基地建設 後戻り困難に」、毎日は「辺野古埋め立て強行」「土砂投入 沖縄反発 『民意ないがしろ』」、東京は「辺野古 土砂投入」「政府『奇策』連発」「普天間22年返還困難」というものだった。
当然のことなのだろう。3紙にとって今回の土砂投入は新たな基地建設の第一歩として許さざるもので、民意を真っ向から踏みにじったもの。そういう解釈だ。そんな一方的な解釈のもとに、一方に偏った記事ばかり掲載している。
毎日は1面トップ記事のリードで「1972年の沖縄本土復帰後、初めてとなる大型米軍基地の建設が本格化した」と強調しているが、これなども国民をミスリードしようという気持ちがありありだ。
今回の辺野古の代替施設は、新たな基地建設ではない。すでにある米軍キャンプシュワブ内と沿岸部を使って、V字型の滑走路を造るものだ。作る理由は、市街地のど真ん中にあり、近隣住民の安全を脅かす米軍普天間飛行場の返還を実現するためだ。
朝日は、1面真ん中に「想像してほしい これが自分の街なら」との見出しで、那覇総局長の解説を掲載しているが、3紙とも想像力が乏しいのか、普天間基地周辺の住民が日夜、危険な基地の存在に怯えながら暮らしていることには想像が及ばないのだろう。
メディアが、辺野古移設の本来の目的、すなわち普天間基地の返還を実現する、周辺住民の安全を確保するという視点に立てば、記事の見出しも「辺野古 埋め立て開始」「普天間返還に一歩」という見出しになる。また「住民の安全確保のため建設急げ」という視点の解説だってあっておかしくない。
しかし、残念ながらそういう視点に立たず、徒に普天間基地周辺住民の安全をないがしろにしているのが、朝日、毎日、東京の各新聞なのだ。
朝日新聞は18日付け朝刊で、世論調査の結果を掲載しているが、1面では「辺野古に土砂 反対60%」との見出しで、土砂投入を進めることに60%が反対、「賛成」は26%にとどまったと報じている。
しかし、この回答への設問は「アメリカ軍の普天間飛行場を、名護市辺野古に移設する工事で、政府は沖縄県が反対する中、沿岸部を埋め立てる土砂の投入を始めました。政府が土砂の投入を進めることに賛成ですか」というものだ。
これが、もし「政府は、住宅街の真ん中にあり、住民の安全性が危惧されるアメリカ軍の普天間飛行場を返還させるため、名護市辺野古の移設工事で、沿岸部の埋め立てを始めました。工事を進めることに賛成ですか」との設問だったら、結果も大きく異なっただろう。