「成長と分配の好循環」のスタートとなる経済対策
政府は、来月に臨時国会を招集し、給付金の支給などを柱とする経済対策に伴う本年度補正予算の年内成立を経て、2022年度政府予算案の編成作業にも着手する。補正予算、来年度予算によって、岸田首相が掲げる「成長と分配の好循環」の実現に向けた施策を展開していくことになる。
今回の経済対策は、18歳以下への給付金のほか、住民税非課税世帯を対象に10万円を給付することなどが盛り込まれ、19日にとりまとめられる見込みだ。財政支出は30兆円超となる見込みで、約4兆5000億円の20年度一般会計決算の剰余金や、20年度から21年度に繰り越された約30兆円の一部を充て、不足分は国債の発行を検討するという。
こうした経済対策は、策定される時にはメディアも詳しく報じるが、実際、どのように使われたかとなるとほとんど報じられない。これまでにしても20年度予算が約30兆円繰り越されたことへの批判はあったが、実際にどのように使われたかは報じられない。
実際は、新型コロナ関連で策定された予算、補正予算は概ね着実に執行されている。もちろん、「Go Toトラベル」のように事業が停止され、確保した予算が執行されなかったケースもあるが、そのほかは順調に支出されている。
例えば雇用調整助成金は、20年度の1次、2次、3次補正などで3.9兆円の財源を確保したが、10月15日時点で既に約4.7兆円を支給している。また営業自粛などへの協力金(協力要請推進枠)も3.6兆円の財源に対して執行額は3.7兆円に達している。
「医療提供体制強化など感染防止対策」でも、4.0兆円の財源のうち3.6兆円が国から地方自治体へ執行されている。ただし、自治体から企業・医療機関などへの支払額は8月末時点で2.6兆円にとどまっている。
「Go Toトラベル」は2.4兆円の財源に対して7636億円の執行にとどまっているが、これは再開時に利用できるもので、これまでの対策は順調に執行されているといっても過言はない。
岸田内閣も同様に新型コロナへの対応を経済対策に盛り込むことになるが、それだけではなく、「成長と分配の好循環」を実現するためのスタートとなる。
岸田首相も先ごろ開かれた経済財政諮問会議で、経済対策について「次の感染の波が来ても十分に対応できるよう、第3回目のワクチン接種や医療体制をはじめ、安心基盤を徹底して整備する。また、コロナで厳しい影響を受けた方々への万全の支援、傷んだ経済の立て直しに全力を尽くし、国民の安心を確保する。同時に、今回の経済対策では、新しい資本主義を起動させ、『成長と分配の好循環』を拡大していくために十分な内容と規模にしていきたいと思っている」と述べている。
そういう意味では今回の経済対策、それに続く来年度政府予算案は、成長を確固としたものとしながら国民へ成果を分配するという新しい社会作りという大きな節目となる。
(terracePRESS編集部)