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2021.11.25

代表選候補者の政策に見る立憲の限界

来年の参院選に向けた〝生き残り〟をかけた立憲民主党の代表選は、今ひとつ盛り上がりに欠けている。候補者の政策の明確な違いが分からず、自民党総裁選のような政策論争すら行われていない。候補者の政策を見ても、そこには「政権を担う」というリアリティーも感じられず、枝野時代からの〝立憲の限界〟もそのまま引き継がれるようだ。

 

代表選には逢坂誠二元首相補佐官、小川淳也元総務政務官、泉健太政調会長、西村智奈美元厚生労働副大臣の4人が立候補している。

 

4氏は代表選にあたり「政見」を発表している。逢坂氏は「『希望と安心』のための 逢坂 VISION」なるものを掲げているが、その一番手に書かれているのがなんと「人への投資と文化芸術の振興」だ。「文化芸術は国民の心のよりどころであり、穏やかな生活のための潤滑油」と訴えているが、確かにそれは事実だろう。

 

だからといって、それが例えば少子・高齢化や経済再生・活性化、災害対策、安全保障などの課題に勝ると考えているのだとしたら、あまりにも認識不足だ。「文化芸術の振興」も大事だが、それより優先させるべき課題はあるのだ。もちろん、逢坂氏も抽象的な言葉の羅列で、他の政策課題について言及しているが、少なくとも「文化芸術振興」をいの一番に掲げるところなど、国民生活の向上を真剣に考えているとは言い難い。

 

小川氏は「政見」のタイトルで「新しい時代の政治を創る。~日本に政権交代可能な政治を~」と掲げているが、その主張は先の衆院選と同じ「分配なくして成長なし」だ。確かに、分配することによって消費が喚起されることは事実だが、枝野代表と同じように成長できないと分配もできないという簡単な原理さえ無視している。だから「政見」で「次の成長につなげる」とは言うものの、そのための成長戦略らしきものはまったくない。

小川氏は、衆院選で「分配すれば成長する」という分配優先政策が経済の縮小を呼ぶと有権者が判断したことを理解していないのだろう。泉氏は「政見」のタイトルを「政策立案型政党へ」とし、「この機会に党の長所と短所を冷静に分析し、国民の期待する具体的政策を示すとともに、強い覚悟で党を改革し、再生を果たしていかねばなりません」と訴えている。批判ばかりの姿勢を改め、政策を提案していく党になるというわけだ。

 

しかし、その泉氏の政策はこれまた衆院選で立憲が掲げた「時限的な5%の消費税減税」を主張している。消費税減税という主張はそれでいいが、「政策立案型政党になる」というのなら、消費税が幼保無償化などの財源となっている中で、その事業をどうするのか、継続するなら財源をどうするのかを示すべきだ。それもせずに「政策立案型政党」というのなら単なる口先だけのことと考えるしかない。

 

西村氏も小川氏と同様、分配優先で「分配/再分配政策を強化し、格差と貧困を解消して、可処分所得の向上と個人消費の喚起を基盤とした持続可能な経済成長を実現する」としており、分配すれば経済が成長するという余りにも楽天的すぎる主張を展開している。

 

このように4氏の「政見」をみれば、4氏の主張が素人的で、無責任な言いっ放しに終わっていることが分かる。それはこれまでの立憲民主党の体質とまったく同じなのだ。現在の立憲民主党になって初の代表選だが、新代表が決まる前から限界が露わになっている。

 

(terracePRESS編集部)

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