正しい「ホワイト国」除外の判断
政府は8月2日の閣議で、安全保障に関連する物品の輸出管理手続きを優遇する「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を決定した。政令は7日に公布され、28日に施行される。経済産業省はホワイト国除外についての意見公募を実施し、異例の4万666件の意見が寄せられており、約95%が除外に賛成だったというから、今回の措置は民意を反映したものと言えるだろう。
韓国に対しては7月から半導体材料などに使うフッ化水素、フッ化ポリイミド、レジストの3品目に対し輸出管理のあり方を見直していたが、今回の措置によって韓国向け輸出についてはホワイト国に与えていた一般包括許可が適用できなくなるとともに、リスト規制品以外であっても、大量破壊兵器等や通常兵器の開発等に用いられる恐れがある場合は輸出許可申請が必要となる。
ちなみに、今回の政令改正で、いわゆる「ホワイト国」という呼称は使われなくなり「グループA」という呼称になるという。ホワイト国は韓国を含め米国、英国、ドイツ、フランスなど27カ国だったが、新たなグループAは韓国を除く26カ国となり、韓国は、輸出管理レジームに参加し、一定要件を満たす「グループB」となる。
さて、これまでの半導体材料をめぐる見直しでもそうだったが、韓国政府はこうした措置が「元徴用工問題への報復措置で、自由貿易の推進に反する」としている。韓国メディアはもちろん、日本のメディアでも〝報復措置〟として伝えているところもある。
しかし、日本政府が主張するように、今回の措置は「安全保障のための輸出管理制度の運用に必要な見直し」というのが事実だ。兵器の開発などに使われる恐れのある物資を輸出する相手として韓国は信頼性に乏しいという訳だ。
その焦点の一つが、大量破壊兵器や通常兵器の開発などに使われる可能性のある貨物の輸出や技術の提供などを行う際、所管の省庁(日本の場合は経済産業大臣)への届け出や許可を受けることを義務付けるキャッチオール制度だ。
経済産業省によると、韓国は通常兵器キャッチオール制度を導入していると主張しているが、韓国のキャッチオール制度の根拠条文である法律は大量破壊兵器関連物品などを対象としており、通常兵器の法的根拠が不明確という。
また、韓国側は、「110人あまりの担当人材を配置」と説明しているが、これは、武器そのものの輸出入に携わる人員や民間機関の職員を含めた人数にすぎず、韓国の産業通商資源部のウェブサイトによれば、軍事転用可能な民生品の審査に携わる職員数は、貿易保険やダイヤモンドの輸出管理に携わる職員も含めてわずか11人という。さらに、二国間の政策対話についても、韓国は日本の責任かのような主張をしている。
こうした日本側の疑問や不安を解消すれば、この問題は解決に向かうのだろうが、韓国政府やメディアがいわゆる元徴用工問題の報復と位置付けているから、問題が複雑になっているのだ。
ホワイト国からの除外を決めた政府の判断は正しく、韓国が正面からこの問題を議論すれば、解決の糸口は見つけられるのである。
(terracePRESS編集部)