新型コロナ第6波への対応整える岸田政権
新型コロナウイルス感染症は、日本が新規感染者の拡大を着実に押さえ込んでいる一方、欧米などでは変異株のオミクロン株が拡大するなど、再び悪化の様相を呈している。日本でも先行きは予断が許されない状況だが、岸田政権は着実に第6波対策を進めており、財政的裏付けとなる2021年度補正予算案も近く、参院での審議後、成立する見込みだ。
岸田首相は15日の衆院予算委員会の締めくくり質疑で、新型コロナ対応について「オミクロン株、第6波への対応は全力で取り組む。国民の安心を取り戻し、命と健康を守り抜く強い覚悟で臨んでいく」と強調した。
新型コロナは現在、国内では収束状況となっているが、この状況が今後も続くかどうかは予測ができないのが現実だ。事実、同じアジアで、欧米に比べればマスクなどの対策も行われ、成人のワクチン接種率が日本を上回る90%超に達している韓国では、14日に確認された新規感染者は7,850人となるなど急激に悪化している。
岸田首相は今国会の所信表明演説で、米国のジョン・F・ケネディ元大統領の「屋根を修理するなら、日が照っているうちに限る。」という言葉を紹介しながら、新型コロナが落ち着いている今こそ、医療体制の整備の必要性を強調し、取り組んでいることを強調した。
そうした考えに基づいて、政府は11月に「次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像」を策定しているが、対策で重要な病床の確保については、仮に感染力が2倍になったことを想定し、今夏と比べて約3割増(約1万人増)の約 3.7 万人が入院できる体制をすでに構築している。
また、補正予算案では、都道府県が重点医療機関などの病床確保や軽症者の宿泊療養施設の確保などを支援に向け「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金等による支援」を増額するため2兆1,033億円を盛り込んでいる。
3回目の接種はすでに動き出しているが、今後のコロナ対策の切り札となる「飲める治療薬」は年内の薬事承認を目指しており、政府は160万回分の薬剤を確保している。このほか、健康上の理由でワクチン接種を受けられない人や、感染拡大時に無症状の人でも無料で検査を受けられるよう3,200億円を計上して態勢を整備する。
新型コロナウイルスは現在も全容を解明できていない。このため、韓国や欧米などのように、現時点では、残念ながら感染が収束傾向を示しても再拡大することもある。このため、感染の状況に即して対策を講じていくことがあって当然なのだが、岸田政権は現在の落ち着いている時期を捉えて次の感染拡大に備えているわけだ。そうした態勢整備ができるのも、安倍政権、菅政権の経験があったからだろう。
岸田首相は所信表明演説で「これまでの新型コロナ対応を徹底的に検証する。その上で、来年の6月までに、感染症危機などの健康危機に迅速・的確に対応するため、司令塔機能の強化を含めた、抜本的体制強化策を取りまとめる」と述べている。
日本が直面した健康危機への司令塔機能の強化はもちろん必要だが、さらに言えば、大災害時、安全保障上の危機などへの司令塔機能の強化も必要だし、今後は、危機時に生活が制限されることがあるという理解を促進するため国民の啓発も必要となるだろう。
(terracePRESS編集部)