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2021.12.15

安倍元首相「台湾有事は日本有事、日米同盟有事」の意味

安倍元首相が先ごろ、台湾のシンクタンク主催のフォーラムにオンライン出席し、「台湾有事は日本有事。日米同盟の有事」と述べた。台湾だけでなく東アジアなどで軍事的圧力を強める中国を強くけん制した形だ。この発言に中国は強く反発したが、この安倍氏の発言を日本人は共有すべきだろう。

 

安倍氏はフォーラムで、台湾だけでなく、台湾に近接する与那国島や尖閣諸島などの日本の領土領海に対して「中国はあらゆる種類の軍事的挑発を続けていくことも予測しておくべき」と指摘。

 

その上で「私は総理大臣として、習近平主席に会うたびごとに、尖閣諸島を防衛する日本の意思を見誤らないように、その意思は確固たるものであると明確に伝えた。尖閣諸島や、先島、与那国島などは、台湾からものの100キロ程度しか離れていない。台湾へ武力侵攻は地理的空間的に関わらず、日本の国土に対する重大な危険を引き起こす。台湾有事は日本有事。すなわち、日米同盟の有事でもある」と述べた。

 

台湾と与那国島は距離にして100キロ程度しか離れておらず、もし台湾有事が起こり、それを放置すれば日本への直接の武力行使に至る恐れがあり、平和と安全に重要な影響を及ぼすという「重要影響事態」になるとの認識を示したわけだ。

 

この安倍氏の発言に対して中国外務省は「中国の内政に対して粗暴に干渉し、中国の主権に公然と挑戦し、はばかることなく台湾独立勢力を後押しした」と批判。日本大使を呼びつけて抗議するなど異例の事態となったが、東、南シナ海で中国が秩序を乱し圧力を強めているし、特に台湾に対して軍事的圧力を増強していることは事実だ。

 

安倍氏は「習近平主席に会うたびごとに、尖閣諸島を防衛する日本の意思を見誤らないように、その意思は確固たるものであると明確に伝えた」と述べているが、ことある度に日本の意思を表明することが抑止力になる。日米安保が強固なものであることを示すことも抑止力になるし、日米豪印の4カ国がクアッドや米英豪がオークスを作ったのも抑止力を高めるためだ。今回の安倍氏のような発言や各国の取り組みが中国をけん制することになるわけだ。

 

もちろん、安倍氏の発言は中国をけん制すると同時に、もう一つ意味合いがある。それは日本国民向けだ。国民が、安倍氏が示したような認識を共有しなければならない。それがまた抑止力を強固なものにする。日本国民が強い意志を持たなければ、他国の武力挑発を強めることになり、やがて日本の安全が脅かされることになるのだ。

 

安倍氏の発言については、あたかも日本が武力発動をするかのように捉えて、日本国内でも批判する向きがある。しかし、安倍氏の指摘のように、台湾有事は「重要影響事態」になる可能性は高いものの、重要影響事態で可能なのは後方支援活動や捜索救助活動、船舶検査活動で、それも外国領域では、当該国などの同意がないと実施できない。

 

いずれにしても、安倍氏の発言は中国の行動を牽制するとともに、日本国民に現実を直視するよう求めたものだ。こうした発言や行動、国民の意思が平和を守ることにつながる。

 

(terracePRESS編集部)

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