「経済版『2+2』」などで深化する日米関係
岸田首相とバイデン米大統領が先ごろ、オンライン形式で初の首脳会談を行い、日米の外務・経済担当閣僚による経済分野に関する協議の枠組み「経済版『2+2』」を立ちあげるほか、バイデン氏の訪日や日米豪印4カ国(クアッド)首脳会談の開催などで合意した。会談の実現までに期間を要したが、首脳会談の実現で日米関係はさらに深化することとなった。
首脳会談では「経済」「インド太平洋」「中国」「北朝鮮」などさまざまテーマで意見交換した。
特に、「経済」では、岸田首相が自ら提唱している「新しい資本主義」の考え方を説明。両首脳は次回会合で、持続可能で包摂的な経済社会の実現のための新しい政策イニシアティブについて議論を深めることで一致した。
さらに、経済安全保障について緊密な連携を確認。外務・経済閣僚の「日米経済政策協議委員会(経済版「2+2」)」の立ち上げと、「包括的な日米経済協力を推進する」(岸田首相)ことで合意するとともに、「日米競争力・強靱性(コア)パートナーシップ」などに基づき、日米間の経済協力と相互交流を拡大させることで一致した。
日米間には、すでに外務・防衛閣僚による「日米安全保障協議委員会(日米『2+2』)」があるが、「経済版『2+2』」の設置で、日米の協力関係がさらに深化することとなる。
この「経済版『2+2』」で注目すべきことは、両首脳が、こうした経済面での日米協力をインド太平洋地域に拡大していくことを確認したことだ。
インド太平洋地域については、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、すでに日米両国の連携のほか、日米豪印(クアッド)やASEAN、欧州などとの協力がスタートしているが、経済面でも同様に、インド太平洋地域で日米両国によりリーダーシップが発揮されることとなる。
このほか、首脳会談では中国については、「かなりの時間をかけてやり取り」(岸田首相)が行われ、東シナ海や南シナ海での一方的な現状変更の試みや経済的威圧に反対するとともに、中国をめぐる諸課題への対応について日米両国で緊密に連携していくことで一致した。
両首脳は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を求めたほか、香港情勢や新疆ウイグル自治区の人権状況について懸念を共有したという。
また、バイデン大統領から、日米安保条約第5条の尖閣諸島への適用を含む対日防衛コミットメントについて発言があったほか、両首脳は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止について、在日米軍施設やその周辺などでの日米の取り組みの調整を含め、緊密に協力することで一致した。
会談では、今年前半にバイデン大統領が訪日し、日米豪印首脳会合を開くことで合意しているが、日米関係がさらに緊密な連携を進めることは間違いない。
(terracePRESS編集部)